デンゼル・ワシントン主演『イコライザー3』が今年9月1日に全米公開予定で、日本でも年内に公開されるのかな…と思っています。


また現在アメリカでは、クイーン・ラティファ主演によるリブート作品『イコライザー』がTVシリーズとして放送されており、日本ではAXNにてオンエアされています。


この『イコライザー』シリーズは、1985年~1989年にアメリカで放送されたTVドラマシリーズ『ザ・シークレット・ハンター』(原題 THE EQUALIZER)が原点。

『ザ・シークレット・ハンター』は、カンパニーと呼ばれる諜報機関から引退したロバート・マッコールがイコライザーと称し、元エージェントとしての能力を発揮して、困難に直面している人達を助けるトラブルシューターとして活動する、という粗筋。


主人公ロバート・マッコールはニューヨーク在住ながら、ブリティッシュ・イングリッシュを話し、英国仕立てのスーツ(冬はトレンチコート)を着こなし、愛車はジャガーXJという、アメリカ人がイメージする“ザ・英国人”といったキャラクターです。

普段はホームセンターの従業員として働いている、映画『イコライザー』のデンゼル・ワシントン演じるロバート・マッコールとは、かなり印象が異なります。(因みにクイーン・ラティファが演じている女性の名前はロビン・マッコール)


マッコールを演じるエドワード・ウッドワードは実際にイングランド出身。1930年の生まれで『ザ・シークレット・ハンター』出演時は55歳。


『ザ・シークレット・ハンター』の放送が開始された1985年のアメリカ・ハリウッドは、シルベスター・スタローンやチャック・ノリスやアーノルド・シュワルツェネッガーに代表される単身殴り込み系のマッチョ・ヒーローの全盛期。

TVドラマでも同時期には『特攻野郎Aチーム』『私立探偵マグナム』『特捜刑事マイアミ・バイス』『ナイトライダー』『超音速攻撃ヘリ エアーウルフ』『冒険野郎マクガイバー』『リップタイド探偵24時』『スーパーライダー 探偵ハード&マック』『華麗な刑事デンプシー&メイクピース』『忍者ジョン&マックス』等のアクション作品が放送されて人気を呼んでいました。

そんな中、決してマッチョではない壮年後期の紳士が主人公のアクション・ドラマ『ザ・シークレット・ハンター』は異色だったのでは…と思います。


ゲスト出演者がかなり豪華でして、ロバート・ミッチャムやテリー・サバラスの様なベテラン・スターから、デビュー間もないブレイク前のクリスチャン・スレーター、ケビン・スペイシー、マコーレー・カルキンらが出演しています。


日本でのTV放送は遅れに遅れて、アメリカでの放送から約9年後の1994年5月31日より(毎週月曜深夜)名古屋テレビ(現 メ〜テレ)で放送開始。


アメリカでは4シーズン全88話が放送され、日本ではその内の79話が放送されました。
日本で放送されなかったのは、第2シーズンの15話と16話(通算37話と38話)の前後編、第3シーズンの1話と2話(通算45話と46話)の前後編、第3シーズンの6話と7話(通算50話と51話)の前後編、第3シーズンの16話と17話(通算60話と61話)の前後編、加えて第2シーズンの22話(通算44話)か第3シーズンの3話(通算47話)のどちらか(恐らく前者)……の全9話。

さて……名古屋テレビでのシリーズ放送開始から1年が過ぎた頃、1995年7月3日の放送で前代未聞?の出来事がありました。

何と名古屋テレビでシリーズ放送中の『ザ・シークレット・ハンター』の裏番組として、テレビ愛知が深夜の映画枠で『ザ・シークレット・ハンター 戦慄の大量殺人計画』を放送したのです。

『ザ・シークレット・ハンター 戦慄の大量殺人計画』は、シリーズ放送から外れた第3シーズンの1話と2話(通算45話と46話)の前後編を繋いだ作品です。
レギュラー放送の『ザ・シークレット・ハンター「愛のプレゼント」』は第3シーズンの11話(通算55話/日本では第48回放送)です。

何でこんな事が起きたのか……

『ザ・シークレット・ハンター』は日本ではTV放映に先駆け、1989年にビクターエンタテインメントから『クライム・シティ』のタイトルでビデオが発売されていました。

1989年9月22日発売
『クライム・シティ ① 血とワイン』
1989年10月27日発売
『クライム・シティ ② 消えたマコール』
1989年11月24日発売
『クライム・シティ ③ マノンの秘密』 

『クライム・シティ ① 血とワイン』は第3シーズンの1話と2話(通算45話と46話)を収録。
『クライム・シティ ② 消えたマコール』は第3シーズンの6話と7話(通算50話と51話)を収録。
『クライム・シティ ③ マノンの秘密』は第3シーズンの16話と17話(通算60話と61話)を収録。

つまりビデオで発売されたエピソードは、全て日本でのシリーズ放送から外れた前後編です。

これは想像ですが、恐らくビデオ発売された3巻6エピソードは契約上シリーズ放送に含まれない事になっていたのではないかと思われます。因みにビデオ発売はされていませんが、第2シーズンの15話と16話(通算37話と38話)は、第3シーズンの16話と17話(通算60話と61話)=『クライム・シティ ③ マノンの秘密』に直接繋がるエピソードなので、シリーズ放送から外されたのでないかと推察します。(残る1話がシリーズ放送から外れた理由は不明)

こうしてシリーズ放送から外れたエピソードの内、『クライム・シティ ① 血とワイン』がタイトルを変え『ザ・シークレット・ハンター 戦慄の大量殺人計画』として、映画枠でTV放送された訳です。
契約上?シリーズ放送から外れ、TV放送する際の放送局の縛りも無かった……等の条件が重なり、更に放送局の編成の偶然も重なり、同一のTVドラマ作品が2つの放送局で裏番組同士としてオンエアされる、という珍事が起きたと思われます。

この時私は……名古屋テレビのシリーズ放送の『ザ・シークレット・ハンター「愛のプレゼント」』をオンタイムで見て、テレビ愛知の『ザ・シークレット・ハンター 戦慄の大量殺人計画』をビデオ録画しています。


『ザ・シークレット・ハンター』
THE EQUALIZER
1985年〜1989年
【出演】
エドワード・ウッドワード
ロバート・ランシング
モーリーン・アンダーマン
メリッサ・アンダーソン
キース・ザラバッカ
ロバート・ジョイ
チャド・レディング
エディ・ジョーンズ
マーク・マーゴリス
アーヴィング・メッツマン
【監督】
ロッド・ホルコム
リチャード・コンプトン
ラス・メイペリー
アラン・メッツガー
マーク・ブラウン
トビー・フーパー
【テーマ音楽】
スチュワート・コープランド