『幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形』『悪魔が呼んでいる』の好評を受けて、翌年も同様の2本立てが企画されます。


田中文雄プロデューサーは『血を吸う』シリーズ2作目は、最初から和製ドラキュラを製作する事を決めていました。ブラム・ストーカーの小説「ドラキュラ」は既に著作権が切れており、翻案作品の製作は可能でした。


「幻の吸血鬼」の仮タイトルで進められたこの作品、田中プロデューサーは吸血鬼の役に岡田眞澄さんを想定されたそうですが、岡田さんが海外に滞在中でスケジュール調整が困難だった事もあり、山本迪夫監督の推薦で岸田森さんが起用されました。


当初この映画のラストシーンは夜明け前の湖のほとりが舞台で、主人公が剣で吸血鬼を斬首し、そこに朝陽が当たり吸血鬼は滅びてゆく…という展開が予定されていましたが、企画準備中に三島由紀夫さんの自決があった為に大幅に展開を変更したそうです。


1971年6月16日『呪いの館 血を吸う眼』が公開されました。


併映作は、オリジナルストーリーによる『雨は知っていた』。当時既に東宝は俳優の専属契約を打ち切っていた事もあり、キャスティングには苦労したそうで、劇団所属の俳優が多く起用されています。

過去にソフト化された事がない作品だったので、『血を吸う』シリーズ3部作のBlu-rayに『悪魔が呼んでいる』と共に収録してして貰いたかったのですが…残念。


資料によれば短編ドキュメンタリー映画『人間都市の建設』も上映されたとあります。


こちらの2本立ても好評で、翌年も同様の企画を求められたのですが……



『呪いの館 血を吸う眼』

1971年 東宝

【出演】

藤田みどり

江美早苗

高橋長英

岸田森

大滝秀治

高品格

二見忠男

桂木美加

松下達夫

記平佳枝

【監督】

山本迪夫

【製作】

田中文雄


『雨は知っていた』

1971年 東宝

【出演】

鳥居恵子

南風洋子

黒沢年男

山内明

新田昌玄

宮阪将嘉

高山秀雄

牧野義介

大滝秀治

伊藤孝雄

【監督】

山本迪夫

【製作】

田中文雄


『人間都市の建設』

1971年 日経映画社

短編ドキュメンタリー