鳳神ヤツルギ外伝地底帝国アングラー124話 | アメイじんぐぅ・グレイス

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「ウルブレードを処刑するのは早計じゃ。それに少し、やつと話がしたい」

「こいつ、ダークザウラー様の邪魔立てをする気か」

 ベノムブラキオが握りこぶしでノロイムカデの頭をぐりぐり擦りつける。ダークザウラーは一旦剣を下ろし、ノロイムカデの元に歩み寄っていった。

「ベノムブラキオ、そいつを離せ」

「へ? こいつをあっさり解放しちゃうんですか」

「そうではない。このじじいの計画を聞かせれば、やつも気が変わるかもしれん。それでもなお刃向うというのなら、今度こそ容赦なく切り捨てるのみだ」

「しかし……」

 ベノムブラキオは言い淀んでいるようだったが、ダークザウラーが大剣を地面に突き刺すと、口を結んだ。

「どうしても気がかりというのなら、お前が2体のそばで監視しておればいい。そうすれば、このじじいも下手な口出しはできなくなるだろう」

 それで合点が行ったのか、ノロイムカデがウルブレードのそばに歩むのと同時に、ベノムブラキオも付き従ってきた。


 ベノムブラキオが凝視している状況下、下手に思惑は吐露できないはずだ。それでもなお、話したいこととはいかなることであろうか。

「まずは単刀直入に言っておこう。ダークザウラーに周辺諸国への侵略を勧めたのは、他でもないわしなのじゃ」

「なんだって」

 ウルブレードは声を張り上げる。そんなことを進言したら調子づかせるだけに決まっている。策略家として名高いノロイムカデがそんな提案をするなど、にわかに信じられない。


「ダークザウラーはまさに偉大なるお方じゃ。そんなお方がこの帝国内で身を潜めておるだけなど、なんとももったいないこと。もっと国外にその力を示す必要があるのじゃ」

「ふざけるな。耄碌しているのみならず、痴呆までしやがったか」

 これは明らかにおかしい。ノロイムカデはダークザウラーを封印した張本人。それがこうもダークザウラーを絶賛するなど正気の沙汰ではない。


 ウルブレードはノロイムカデの肩をつかみ、何度も揺さぶった。

「今の発言を撤回しろ。貴様、ついに地底帝国の軍師としての誇りまで失ったか」

「愚か者め。わしは帝国民としての誇りを捨てたわけではない。帝国民だからこそ、ダークザウラーに仕えることが至上の喜びだと悟ったのじゃ。そう、過去にダークザウラー様を封印したのは大罪であったな」

 そう言ってウルブレードの手を払いのける。杞憂していたベノムブラキオも、表情をほころばせる始末だ。


 ウルブレードは拳に力を込める。もしこれが本心で言っているのだとしたら、皇帝の名において、反逆罪で裁きの鉄槌を下すところだ。冗談だとしても、一発殴らないと気が済まない。

 わなわなと腕を震わせながらも、拳を顔の横まで持ってくる。


(待つのじゃ)


 脳裏に声が響いた。しわがれた声。それも、聞いたことがある。いや、そんな生易しいものではない。この声の主は……。

「ノロイムカデなのか」

 ウルブレードはそっとつぶやいた。


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