「邪魔が入ったようね」
カオスプテラは反転しながら吐き捨てた。ブルドリラーとガゼルスピアーは武器を支えにして立ち上がると、ウルブレードの両脇に並び立った。
ウルブレードが前進するのに合わせ、ブルドリラーとガゼルスピアーはカオスプテラを取り囲むように後方へ移動する。カオスプテラは首を動かしながら、その動向を見守った。
やがて、カオスプテラを取り囲むトライアングルが形成された。しかもそれは、互いの武器を差し出せば通行止めできるほど、範囲が狭められている。下手に脱しようものなら、三種の得物のいずれかの餌食になること間違いなしだ。
そして、ここが基地の内部だということも、カオスプテラにとっては不利な条件であった。なにせ、空中に逃れようとしても、天井が存在するせいで、到達可能高度には制限がある。それに、ただ飛び立つだけでは、あの得物によって串刺しにされてしまう。
パニックに陥ったまま、一斉攻撃を受けて拘束される。それが獣刃大将軍の描いたシナリオであった。だが、カオスプテラはウルブレードが想定した物語の登場人物になる気など、端からない。
カオスプテラは地面を軽く蹴ると、ウルブレードとガゼルスピアーの間に突撃した。当然、刃と槍がクロスし、カオスプテラの行く手を阻む。これにより、カオスプテラは立ち留まらざるを得なくなる。その隙に、全員で一斉攻撃だ。
しかし、どうしたことか、カオスプテラは武器に到達する直前に、進行方向を変更させたのだ。面食らうウルブレード。だが、すぐさま正気に戻り、カオスプテラのあとを追う。
カオスプテラは、わき目もふらずブルドリラーの真横を滑空し、そのまま基地の出口へと直行した。逃げたといえばそれまでだが、そうでなく策を用意していることぐらいは容易に想像できた。
それにしても、あの一瞬で最も動きの鈍そうなブルドリラーを標的にし、脱出を図るとは。ウルブレードとガゼルスピアーは盾に使われたことになるが、この際それはどうでもよくなった。
やがて、カオスプテラを追いかけているうちに、一行は獣刃大将軍の本拠地のすぐ傍にたどり着いた。そこで改めてカオスプテラと向かい合う。