鳳神ヤツルギ外伝地底帝国アングラー93話 | アメイじんぐぅ・グレイス

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この回から第3部の開幕です。


第3部 侵略編


 地底帝国の中央部に位置する神殿。そこは転生の儀といった重要な儀式で使われる、地底帝国の中枢ともいえる場所であった。

 その地下には古びた銅像があるのだが、それは決して触れてはならないいわくつきの像となっていた。幼子をしつけする際に「言うことを聞かなければ神殿の像の前に置き去りにしますよ」という定例文が使われるぐらいだ。血気盛んな戦闘民族といえど、好き好んでこの像に近づく者はいなかったのである。


 しかし、そんな像に近づくものが2体もいた。怖いもの知らずの愚か者か。否、そんな大層なものではない。

「ブルドリラー、こっちは終わったよ」

「よし、あとはこの像の周りだけだ」

 長期間誰も踏み入れてない割に、塵やほこりがたまりにたまっている。もちろん、いわくつきの像もほこりをかぶって汚い化粧が施されていた。その埃を木の枝を使ってかき集め、一か所にまとめていく。

 本日は、年に一度の大掃除の日であった。生活環境にはあまり頓着しない気質ではあるが、それでも最低限は清潔にしておかないと居心地が悪いのである。なので、定期的に掃除が行われているが、それを担当しているのがブルドリラーやガゼルスピアーといった下位クラスの戦士なのであった。

 特に、皇帝にウルブレードが就任しているためか、獣刃大将軍の戦士が掃除を一任されていた。本来ならあと2体は戦士がいるのであるが、1体は反逆罪で監禁中、もう1体はその際の戦いで殉職してしまったため、実質ブルドリラーとガゼルランサーで主要施設の清掃をすることになっている。


 この神殿も、残すはこの像が安置してある地下の間だけとなっていた。悪い噂が込められている像を前に、掃除をしていても気が気でならない。特に、像そのものを掃除するときは小一時間ぐらい言い争い、結局ガゼルスピアーがおっかなびっくりとりかかる始末だ。

「まったく。いつまでこんな心臓に悪い像を飾っておくんでしょうかね」

「それは前から思っているが、耄碌じいさんによると、この像はむやみに壊すとまずいらしい」

「壊すとまずいって、どういうこと」

「そこまでは知らない。ただ、どうやらウルブレード様の親父さんが関わっているみたいなんだ」

「へえ。じゃあもしかしたら、ウルブレード様が何か知ってるかもしれないね」

「ちょうどいい機会だ。掃除が終わったら聞いてみることにするか」

 そう合意した二体は、心持スムーズに掃除を終わらせていくのだった。


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