「なるほど。なんとなく話が読めてきたが、要するに、お前のせいで弟が捕まったってことか」
アクアヒルが立ち上がりつつ、べアックスをにらむ。
「だったら、ますます都合がいい。お前を倒せば、それがそのまま仇討ちになる」
「ほう。この俺を倒せると本気で言っているのか」
「生意気な態度はそこまでだ」
言い終わらないうちに、くちばしから大量の水泡弾を発射する。これには、主に風切頭領軍が身を乗り出した。よく観察していれば分かるが、今までアクアヒルは単発でしかこの技を使ってこなかった。それが、ここにきての連射である。感情が高ぶっているとはいえ、短期間での急成長。戦士としての非凡さがうかがえる。
しかし、それでもべアックスとの間には圧倒的な実力差があった。べアックスは両手をクロスし、頭の上に掲げた。迫りくるシャボンに対し、あろうことか目を閉じて待機する。
「怖気づいたか」
アクアヒルは嘲笑する。だが、それは一秒と続かなかった。
ベアックスが両腕の斧を×印を描くように振りおろした途端、シャボンの群れが一瞬にして弾け飛んだ。手品のような出来事に、観衆のモグーン兵はざわめく。そして、戦士たちは別の意味で動揺を隠せずにいた。
原理としてはどうということはない。斧を振り下ろした際に発生した衝撃波ですべてのシャボンを消し去ったのだ。だが、単発の耐久力が高くないとはいえ、無数のシャボンを一撃で葬り去るなど、並の戦士の所業ではない。
そして、最も衝撃を受けていたのは、他でもないアクアヒルであった。あの攻撃は間違いなく、彼が繰り出しうる現時点で最高レベルの技。それがいとも簡単に突破されたのだ。
「畜生。そんなのありかよ」
むきになって、再度同じ技を繰り出す。しかし、何度やろうともべアックスにシャボンが到達することはなかった。