「私たちをたった一人で倒すなんて、大見栄を切るのもいいところね」
「見栄とは心外だな。俺は絶対的な根拠があって言っているのだぞ」
「根拠だと」
「それは、俺が強いからだ」
ウルブレードは鼻息を鳴らすが、冷たい沈黙が注がれた。
「笑止。ソニクジャク様、あなたの手を煩わせるまでもありません」
「こやつは、我らで片付けましょうぞ」
エレキバットとコルコンドルは、ウルブレードの両脇に並び立つ。ただでさえ、ソニクジャクとの戦いで疲労しているのだ。そのうえ、二対一の戦いを受けて立つなど、正気の沙汰ではない。ブルドリラーもさすがに、やけを起こしたかと、心配せざるを得なかった。
「破壊音波」
「冷風寒波」
風切頭領軍の戦士二体が、容赦なく得意技を浴びせかける。どちらも広範囲攻撃のため、回避するのは容易ではない。
しかし、ウルブレードは回避するどころか突っ込んで行った。それも、エレキバットの方に。
これにはさすがのエレキバットもひるみ、音波を中断してしまう。そして、無防備の胸に、ウルブレードの一閃が炸裂した。
エレキバットはうめいてうずくまる。あくまでみねうちではあるが、しばらく行動不能にするには十分な威力を秘めていた。
「ありえぬ。攻撃に突っ込んで反撃するとは」
「貴様らの攻撃は、その特性上長時間受け続けることで、真の威力が発揮される。なので、素早く反撃しておけば、こちらが受けるダメージは軽微で済まされるのさ」
今まで幾度と戦場で交わり合ったとはいえ、このとっさの判断力は並の戦士ではできぬ所業だった。何より、こうも早い段階で、風切頭領軍の戦士が一人戦闘不能に追い込まれてしまった。
ウルブレードの宣告が虚言ではないと分かり、コルコンドルは身震いをするのだった。