新年一発目のアングラー二次創作。三つ巴の戦いもそろそろ終盤。ってことで、皇帝決定戦編ももう少しでケリがつきますよ。
「どうしたんだ、ガゼルスピアー」
当惑して尋ねるウルブレード。しかし、それには答えずに、ガゼルスピアーは槍を振るった。首筋を狙ったそれは、すんでのところで空振りに終わる。それでもなお、しつように、ウルブレードを貫かんと槍が猛威をふるう。
いきなりの裏切りももちろん解せない。並の戦士なら逆上し、そのままガゼルスピアーと戦闘に入っていただろう。
だが、幾多の修羅場を潜り抜けた経験が、ウルブレードに冷静さをもたらしていた。解せないからこそ、むきになっては相手の思うつぼだ。こんな状況だからこそ、よく相手を観察すべきだ。
そして、裏切り以上に解せない事態を突き止めることになる。それは、ガゼルスピアーの眼であった。まるで生気を感じられない。もちろん、死人の眼というわけではない。だが、それに限りなく近い。いくら耄碌じじいでも、対象を瞬時に抹殺できる術は使えないはず。そうなると怪しいのは、直前に放った「傀儡人形劇(マリオネット・ショー)」
一か八か試してみるか。槍が四方八方から繰り出される中、ウルブレードはフットワークを使い、ガゼルスピアーの脇を潜り抜けた。そのまま反撃。と、見せかけておいて、ウルブレードはまっすぐにノロイムカデの元に向かった。彼の身を守れるのは、戦場より帰還したゲンワクアゲハぐらい。その彼女が負傷し戦線復帰不可能の今、彼は丸腰と同じだった。
ウルブレードの狙いに気がついたのか、ノロイムカデは深紅の眼を見開いた。だが、それより前に、ウルブレードの凶刃が迫る。これで決まるか。
一瞬とはいえ、ウルブレードは勝利を確信していた。しかし、こうも簡単に決まらないことは承知の上での突撃であった。刃が到達する寸前、ガゼルスピアーが高速で割り込み、槍で受け止めていたのだ。
「今のは正直焦ったぞ。まさか、こうも早くわしの術が見破られるとは」
「耄碌じじいめ、相変わらず姑息な技を使いやがる。傀儡人形劇か。早い話が、相手を意のままに操る術だろ。それで同士討ちを狙ったようだが、あいにく、俺には通じんな。幾多の戦いで仲間の戦闘の癖は把握している。こいつが無茶苦茶な攻撃に出たときからおかしいは思ったさ」
「予期せぬ攻撃にも冷静に対処する手腕。さすがはあのウルカリバーの血を継いでいると見える。だが、傀儡の術を見破ったぐらいでいい気になるなよ。ガゼルスピアーに施した効力はいまだ発揮されているのだからな」
それを証明するかのように、ガゼルスピアーは刃を跳ねのけ、再度槍を振るった。バックステップでかわすも、ガゼルスピアーは追撃を仕掛けてくる。
やはり、このまま戦うには限界があるか。そう悟ったのであろうか。ウルブレードはあまりにも意外な一手に出た。
「!? なんじゃと」
ノロイムカデが声をあげるのも無理はない。ウルブレードは立ち向かうそぶりを見せたかと思うと、いきなりきびすを返し、ルートの森の入口へと逃走を図ったのだ。
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