スキー靴や登山靴にかつて多用されたノルウィージャン?ウェルテッド製法を簡略化した、ノルベジェーゼ製法の靴です。ブランドで申せばステファノ?ブランキーニ辺りが代表的でしたが、写真のようにバリバリにコバが張った分厚いレザーソールを、2重3重のこれ見よがしのステッチでアッパーに取り付けていた、あれ。あざといながらも縫いの手が込んでいる分価格も結構なものでしたので、この製法に似せながら実際はブラックラピド製法で簡略化したものも相当出回っていたほど、当時はそれなりの地位を獲得したのですが……uggクラシックミニ
小生はこの種の靴の着用自体には興味が全く湧かず、結局買わずじまいでしたが、「他人任せではなくて、自らの手で紳士靴の方向性を切り開いた」と言う観点ではこの意匠の成り行きに大いに関心がありました。だからオリジネーターとも言えるステファノ?ブランキーニ自体ですら、もはやこの靴をほとんど手掛けていない現状はちょっぴり残念だったりもします。 やっぱり普遍性の創造?持続型と言うよりも、フットワークの軽い流行追随型の靴作りがお家芸なのかな? 作られる地域によっても見た目が微妙に異なるイタリアの靴が、かつてのイギリスの靴のように変化に乏しいのも、まあ面白くないですし……2005年辺りまでは、台襟が高く第一ボタンも2つあるようなシャツや派手なストライプ柄のスーツと合わせていた方も散見したこの靴、気が付くともう全く見なくなってしまいましたね。最大の特徴であるコバ周りが、この10年で世界的な主流が厚いものから薄いものへと見事に逆転してしまい、厚いソールを持ちながらもその逆流には踏ん張りが効かず、時代遅れの単なるあだ花と堕してしまった感があります。敢えて名前は出しませんが、当時のファッション評論家には「これぞ今求められているクラシック!」とか何とか言って盛んに需要を煽っていた人もいたのですが…… ただ見方を替えると、様々な要望に対応できる「小回りの良さ」を十分に活用出来さえすれば、イタリアの紳士靴は編集力に秀でている分、非常に魅力的な作品を提供してくれる能力を高度に持ち合わせているとも申せます。ugg Classic cardy 著名なブランドではなく、それほど大きくない工房にその傾向は顕著で、ワールド フットウェア ギャラリーで見ることができるフィレンツェのデュカルの靴が好例です。メガトレンドを追随し過ぎなくても良いから、発注者と製作者の明確な意思が伝わり、「これは洒落ている。カッコイイ!」と素直に思わせてくれる、言わばスマッシュヒット的な紳士靴が、今後もイタリアの靴メーカーから出てくることを期待しましょう。