余りにも酷い、雨でした……

『ゲリラ豪雨』ってヤツです……

何の前触れもなくやって来た『ヤツ』は、こんな小さな町を水浸しにして、しれっと去っていきました……

「カァーーーーーー!まーたヤられたよ!」

ずぶ濡れになった初老のおじさんが、このコンビニに駆け込んできたのは、今日で2回目……

最初の1回目は……

「タバコ……あるかい?」

店の看板にも『酒・タバコ』と、大々的に書いてあるし、今時のコンビニで、酒類とタバコが置いてないと、生き残っていけない現状を知らんのか?……と、心の中で思いつつ、常連だし、じじいだからしょうがないかと、半分諦めムードで愛想笑いして、

「はい、取り扱ってますよ―」

「じゃあ、シンセイ……くれ」

……シンセイ?

それって……タバコなの?

「なんだ……シンセイないの?タバコ、置いてんだよな?」

うちは、ただ、タバコを扱ってるだけの『コンビニ』で、『タバコ屋』じゃないんだよ!

しかも、『シンセイ』なんてタバコ、二十歳の若者の俺にしたら、見たことも聞いたこともない!

「あー、じゃいいよ……マイセンで……」

……マイセン……今は、『メビウス』だよ!

「なんミリですか?」

「……1ミリ」

「………」

俺は、この『1ミリ』に無性に腹が立つ.……

タール1㎎……

ニコチン0.1㎎……

俺も愛煙家だが、まだ、ぺーぺーの愛煙家だ。

しかし、そのぺーぺーにだって、声を大にして言える……

『そんなもん吸ってんなら、タバコ、止めろ!!』

……外の雲行きが怪しくなったのは、この瞬間だった………