一人大学卒業旅行で立ち寄ったラオス
淡い恋物語が幕を開ける
この国に来て誰一人と日本人と会っていない
ガイドブックがあれば別に一人でもいいんだが
「誰か日本人がいるからガイドブック見せてもらえばいいや」
なんとも卑劣な考えの奴には天罰が下るものだ
ずっとひたすら街中を歩いていると中国人にも韓国人にもない日本独特な上品さを兼ね備えた女性を発見!
「すみません!この辺ってどこか観光名所みたいなところってありますか?」
と聞くと
「う~ん。あんまないですね」
気まずい空気が流れる
恐らくこの人とは波長が合わない
早々にサヨナラ
それから少し歩いていたら、後ろから物凄い勢いで誰かが走ってくる!
アジアン狙いの殺人鬼か!?
やばいと思ったらさっきの上品な女性
「今からブッタパークに一緒に行きませんか」
波長が合わないことを認識しつつも可愛いパワーで強引に持っていかれた
「まだ時間あるんでそれまで一緒に昼食どうですか?」
今度は上品なパワーで「ハイ!」言わざるを得なかった
新宿生まれの新宿育ち
そりゃ上品な訳ですよ
名前はアキさん
年齢は不詳だが現在社会人
大学を卒業してアメリカに1年、オーストラリアに1年、マルタに1年語学留学していたことを考えると最低でも26歳か27歳
そんなことを計算しちゃう私は女の敵だな
食事を終え、アキさんに連れられてホテルへ
え!?まさかアキさん!!!
「この人が今からブッタパークに連れて行ってくれるブロ」
え!ラオス人も同行すんの!?
ブロ(男)も戸惑っていた
バイクで行くのに3人は無理だからもう1台用意するとか
ブロはアキと2人でブッタパークに行く気満々でいたのだが2人で行くのに抵抗のあったアキは暇そうにしていた日本人を誘ったのだ
私は絶対にここで断るべきだ!
なんでこんなに面倒臭いことになること請け合いの事案に巻き込まれなければならないのだ
しかし私に断る筋合いなどなかった
昼食を奢ってもらった者に人権はない
思えば昼食後の会計の時、アキが最初に全額支払い
その後お金を渡しても全く受け取る気のなかったアキ
全て計算されていたのだ!!!
全てアキの策略
恐るべし新宿育ち!
それは赤壁の戦いで風向きを読み、火を使った戦術で相手を翻弄した諸葛亮孔明と遜色なし!
結局渋々ブッタパークに行くことになった
それも無料ってところがまた気を使ってしまう要素
1時間程走ると、目的地に到着
すごい光景だった!!!
混沌な感じがある意味でバランスを取っている
みんなで記念撮影をしまくった
心に蟠りが残っていたので全ての写真で変顔をきめてやった
なぜだかこうすることで蟠りが薄れた
観光している最中、ブロの視線がとても痛かった
「おまえがこなければ。おまえはアキと一体どういう関係なんだ!?あ!?何人目の男なんだ!?」
視線が訴えていた。
忘れてはいけないのがエイの存在。ラオス国立大学の4年生
22歳の同い年
笑顔がチャーミングで日本人にしか見えない風貌からすぐに意気投合
仕事終わりに無報酬で日本人のバイクタクシーをするなんてこんな良い奴はいない
ブロは21歳で学はないがツアー会社で働いていたことからべら棒に英語が上手かった。見た目は渋めなイケメン風。歳は27歳くらいに見える
帰り道、ブロは帰路を変えたり、スピードを急に早くしたりしていた
恐らくアキと2人きりになりたかったのだ
もうわかっているだろうが、ブロはアキのことが好きなのだ
しかしエイはそれを許さない
そのような行為をするたびにブロに対してラオス語で怒鳴る
そしてアキの心はどんどんエイに傾いていく
夜までアキの策略につき合わされ死ぬほど疲れた
「夜はみんなで話そう!」
ブロが言い出したが
「ちょっと夜は噴水の前で本を読みたい」
なんてわけのわからない理由をつけてその場から脱却
その後の恋の行方はどうなったことやら。。。