『星落ちて、なお』と『がいなもん 松浦武四郎一代』 | 視覚障害投資家のHappy Days

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今年の直木賞受賞作・『星落ちて、なお』を読みました。
絵師・河鍋暁斎の娘であるとよの生涯を描いた、伝記の要素が強い小説。
偉大な絵師であった父によって絵師として育てられたものの、父のような絵は描けず、また江戸から明治、大正へと時代が進むごとに河鍋門下の絵は古臭いと相手にされなくなり、「いったい自分はなぜ絵を描いているのか」と煩悶する様子が克明に描写されています。

この本を読み始めて、「あれ?」と思いました。河鍋とよって、どこかで聞いたことあるぞ…、どこだったっけ。
そうそう、4ヶ月ほど前に読んだ、河治和香さんの『がいなもん 松浦武四郎一代』でした。
こちらは、北海道(北加伊道)の名付け親である松浦武四郎の伝記的小説。
ただ、物語は河鍋とよの視点から描かれています。
松浦武四郎が没するまで=とよが成人するまでの時間軸で描かれ、とよはいつも武四郎にあちこち連れ回され、何かご馳走になりながら武四郎の昔語りを聞かされるという展開でした。
子どもということもあり、食いしん坊であまり深いことは考えていなさそうな女の子、という感じを受けました。


『がいなもん 松浦武四郎一代』でとよの無邪気な子ども時代に、『星落ちて、なお』で成人した後の苦悩に満ちた日々に出会うことができます。
当たり前だけど、1人の人間でも年齢を重ねるとどんどん変わっていくんだなあと感じました。江戸・明治・大正と激動の時代を生きていればなおさらですね。