障害者が対価として社会から与えられているもの | 視覚障害投資家のHappy Days

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お金に関することを軸に、視覚障害者(弱視)である僕が、言いたいことをどんどん発信していきたいと思います。

先日、障害者と支援、差別などについて、ちょっとまじめな記事を書きました。

そこで補足というか、「障害」に対する僕の考えを改めてまとめておきたいと思います。

障害は、「障害物競走」「システム障害」という使われ方をすることからもわかるように、明らかにマイナスなもの、余計なもの、不利益なものです。
個性でも何でもない。ないに越したことはない。
でも人間は多様性を確保するために、遺伝子をあえて完全コピーではなく若干違いが起きるよう複製しているため、副産物としてどうしても「障害者」が生まれます。(もちろん、後天的に病気やケガで障害者になる場合も多いけれど)

だから、平等なんてあり得ない。
その不平等を少なくするために、「福祉」があるのだと僕は考えています。

要は、障害というマイナスを引き受ける代わりに、福祉という恩典を対価として得ている。
僕はそんな感覚です。


僕は弱視で、身体障害者3級の認定を受けています。
それで得ている主な福祉、恩典は、以下の3つ。


①障害基礎年金2級

20歳前に初診日があり、一定の障害状態であると認定されると、20歳から年金がもらえる。
金額は、老齢基礎年金を満額支給される場合と同じ。年度によって変わるが、2020年度は780,900円。
これに加え、年金生活者支援給付金が月5,030円支給されるので、あわせてだいたいひと月に7万円ほどを受け取れる。


②交通費の割引、大阪メトロ・大阪シティバスの無料乗車証

鉄道は、介助者と乗る場合運賃が半額になる。つまり、1人分の料金で2人乗れる。
また、鉄道で101km以上移動する場合とバス利用では、1人でも運賃が半額になる。半額になるのは運賃だけで、特急料金などは割引対象外。それでも、例えば新大阪―東京間をのぞみ指定席で移動する場合、通常14,720円かかるところを10,260円で利用できるので、メリットは大きい。

また、大阪市独自の制度として、大阪メトロと大阪シティバスの無料乗車証をもらっている。これがあれば、大阪メトロ・大阪シティバスを1人でも、介助者とでも無料で何度でも乗れる。大阪市内の移動はほとんどタダになるので、本当にありがたい。


③税金の控除

所得税・住民税が安くなる。僕の場合は、所得税は27万円、住民税は26万円が控除される。僕の所得だと所得税は5%、住民税は10%になるので、それぞれ約13,500円、26,000円税金が安くなる。
iDeCoを満額掛けた場合の掛金が276,000円になるので、だいたい同じぐらいの節税効果がある。これは大きい。


そのほかにも受けられる障害者福祉はいくつかあるけど、日常生活で大きな恩恵を感じているのは上記の3つぐらいです。

視力が低いことで車を運転できない、スムーズに移動できない、字を読むのも大変。そしてもちろん、仕事に就くのも非常に難しい。
不自由だらけで毎日ストレスフルだけど、上記のような恩恵があるから、僕は満足しています。


もちろん、もっと重い障害を抱えているのに、十分な福祉を受けられていない人もいる。
ただ、障害者は不平等を押しつけられているだけではなく、対価として一定のものを受け取っているのだということを、もっと健常者に知ってほしいと思います。

僕の感覚では、なぜかこういった話をしたがらない障害者が多いように思うんですよね。
妬まれたくないからかな?と勘ぐってしまうのですが、どうなんでしょう。
でも僕ははっきり言います。当然の対価だと思っているから。

障害者差別を考えるとき、「障害者が得ている対価は適正かどうか」という視点があると、より議論が深まるのではないかと考えています。