ムンジョン音楽監督のコンサートで歌った〈エリザベート 〉ナンバー。(実際の方が感動的だった気がする。)
オペラ座
5月15日
いよいよマッコンを迎えた月曜日。
批判的に見てはいかんと思うものの、結局のところ、ベートーベンの楽曲じゃなければもう少しましになったんじゃないか、と思わずにいられない。
ミュージカルナンバーとしてのベートーベンの楽曲が私の趣味に合わないってことだろう。
それでも俳優の皆さんはますます自分の歌、自分の物語に消化して表現してらっしゃる。ジヌクカスパーに1回も当たらなくて、ヘジュン君に八当たりしがちなのだが、さすがの表現力だと認めざるを得ない。
ジョンウンさんのMagic Moonはめちゃくちゃ素敵だった。さすが天女様。
今度やる時は、絶望よ〜♪とかバッチリハマった素敵なナンバーだけ幾つか残して、その他は創作してくれないだろうか。韓国でいつ再演できるのか分からないけど。
SEASON2の変更点として、夫の横暴さが増したと思う。ただ言われた通りに生きれば良いと言い放ち、彼女の存在全てが無駄と言いながら、実家を勝手に売ろうとする。
なので彼女の境遇に対する同情は増すけれども、そこから抜け出したいが為にベートーベンにすがっているような気もする。彼への愛というより、現実から逃げ出すために利用する…みたいな。
メインの2人はそれぞれ別の事情と欠乏を抱えていて、それを埋めてくれる相手を見つけるんだけど、2人別々の物語が並行して進行しているかのよう。
わずかな共通体験である山の上で雨に降られるシーンでは、前は2人一緒にコートをかぶって雨を避けていた記憶があるが、SEASON2では「雨の中に音楽が聞こえる」とベートーベンが楽しそうに走り出して雨を受ける姿を、トニーが「特別な思い」で見守る風に変わった…と思う。(記憶に確信は無い)
かと言ってそれだけで愛が育つのか?
ウンテ/オク様組の観劇記録にこう書いた。
「どうせなら、この2人の切ないロマンスは〈ベートーベン〉じゃなくて〈マディソン郡の橋〉で見せて欲しかった。」
〈マディソン郡の橋〉には濃密な数日間があった。出会って、どうしようもなく愛し合って、別れる決断をして、その愛を最後までどんな風に心にしまって生きたか、説得力のあるストーリーがあった。
その後接点の無い人生だったとしても、その愛は出会った日から死を超えてまでずっと心の中に存在したと、終盤に印象的なナンバーと共に示されたから強烈なラブストーリーになった。
〈ベートーベン〉は彼らの愛の流れが見えづらいから、きっと私はハマらないんだと思う。
ウンテさんのマッコン挨拶
正直、創作して、舞台に上げてからも大変だった(辛かった?)。色々なことがうまく合わさらないと言うか…。
EMKの代表がそんな状況でも船長として我々を力強く引っ張ってくださり感謝している。
20年30年と長く続く作品がある。ベートーベンもそうなると信じている。
しかし、この作品が今のまま続くとは思っていない。今回は大木に育つ作品の種を植えたようなものだ。まず踏み出した第一歩と言える。我々は小さな種を植えた俳優達であり、皆さんはそれを目撃した観客だ。
今後ベートーベンが世界に向かって育った時、ああ、自分はこの作品の始まりを見たなと、思い返していただきたい。
そうだ私は貴重なものを見たのだ、という気持ちにさえなった。勇気ある誠実な(そして巧みな)挨拶だったと思う。
観劇前の腹ごしらえ。
世宗文化会館裏ロイヤルビル地下1階のオボン食堂。