〈ファントム〉何でも聞いて ユン・ヨンソク編 | 韓国ミュージカルを 訳しまくるブログ

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近頃はメモ付き写真アルバムとしても使用中。

EMK発の〈ファントム〉なんでも聞いてシリーズ。

『大韓民国初代ファントムが語るキャリエールの全て』


キャリエールを演じるユン・ヨンソクさん編です。


キュヒョン編は観劇コムさんで訳してくれたんですが、新クリスティーヌのキム・スさん編は出てこないので、パパ編も無理かなと思い自分でやりました。ニヤニヤ


パパが妻帯者だったというカミングアウトが客席の失笑を買ってしまうのか、説得力を持って悲劇に突入するのか、本当にキャリエールの役者さんの雰囲気、力量にかかっているんじゃないでしょうか。


それだけに演じる側の解釈が大変興味深く、穏やかな話し方も語る中身も愛情深くて泣けます。エリックを葬った後のキャリエールの話とか聞いちゃったら、本当にもうえーんえーんえーん




こんにちは。ミュージカル〈ファントム〉でキャリエール役のユン・ヨンソクです。


ユン・ヨンソクさんでもキャリエールは「悪い奴」だと思いますか?1番気になりました


もちろん悪い奴ですよ。浮気と同じじゃないですか。どんなに弁解して美化しようとも、悪い男であることに変わりはないと思う。だからすべての事件が起こって悲劇的な最後を迎えます。


「そうするほかなかった」とも考えます。キャリエールがなぜ18歳で劇場監督の教習生になったか。その18歳以前に結婚していたと言うことですよね?


その頃は産業化が始まった時期だったので、農村にいた多くの人々が都市に集まってきました。


この人物はおそらく夢を持っていたんです。劇場で働きたいし芸術関係で働きたいと言う夢。


もしも農村で暮らしていたと仮定すると、最も重要なのは早く結婚して子供を作り、働き手を増やすことですよね?


私が思うには多分愛のない結婚をしたんじゃないだろうか。でも心の中に夢があったわけですね?夢を求めてパリオペラハウスの教習生としてやってきたんだけど、そこでいわば真実の愛に出会ったんですよ。私はそう考えて(キャラクターに)近づいています。


そうなんですけど、やはり悪い男です。



〈オペラ座の幽霊〉でファントム役をなさったことがありますが、エリックの父親役を演じて違う気分になったと思います。既存のファントムを演じた経験が、今回キャリエールを演じるにあたり役立つことはありますか?


もちろんです。〈オペラ座の幽霊〉のファントムでデビューして、ファントムと言う人物が持つ痛みがよく理解できます。


世の中から切り離された人生、そのようにしか育つことができなかった、そして母親を恋しがる、そんな気持ちを私が誰よりも知っているし、痛みも知っているので、エリックに対する気持ちがさらに大きくなる気がします。


ですから余計に哀れに思うし、どのシーンでも常に申し訳なく感じます。



ユン・ヨンソクさんの声は聞きやすくて気持ち良いのですが、特に秘訣があるんでしょうか


まずはありがとうございます。専攻が声楽なので声楽的なウォーミングアップとか発声法で喉を慣らす方です。


喉が痛む時は十分に休ませます。話さないで、水をたくさん飲んで、よく寝て


特別な事は無いですが、常日ごろから管理するタイプです。他の人がやってるような事は全部します。



幼いエリックを壮健な青年になるまで、人々に知られず育てることに成功したキャリエールの子育ての秘訣は何でしょう?


子育ての秘訣。あれが子育てと言えるんでしょうか。最近思う事なんですが、ほとんど最初のシーンでファントムが人を殺すじゃないですか。ジョセフブケーを殺すんだけど、その後すごく苦しむわけですよ。


誰もが彼を初めから殺人者だと思っていますが、人を殺してなぜあれほど苦しむのか考えました。初めての事だったんです、実際は。私はそう思います。


2幕のバレエシーンに出てきますが、子供の泣き声がずっと響いてきて人々が恐れ、見つからないようにそれを利用して、わざとデマを流したんじゃないか。「地下に幽霊が住んでいる、その顔を見た人は死ぬ」そんなデマを流したんでしょう。


そのようにして安全に、それとパリの顔のない人々を集めたりして育てはしましたけど、良いケアができるわけないですよね?だから意地っ張りで融通のきかない子に育ちました。


音楽が好きな息子だから、私が思うに、劇場のどこか特別な場所で、いつも一緒にオペラを見たことでしょう。息子と一緒に。


そういう繋がりはありましたが、父だと言う事は隠し続けました。だからそれを子育てとは言えません。実際のところ。


当時の社会の雰囲気は〈笑う男〉でもご存じだと思いますが、奇怪な容貌の人たちは、サーカス団に売られて見せ物になる、それしかなかったんですよ。


それは死ぬより嫌だったと思います。キャリエールもエリックも。だからそれを防ぐために絶えず努力しながらそういう設定を作ったんじゃないでしょうか。



「お前は私の息子」のナンバーの後、クリスティーヌのところに行こうとするエリックを止めながら「だめだ、エリック!」と言う場面では、どのような気持ちなんでしょうか。


あそこで止めるのは、実はそれより「エリックは大丈夫なのか?」「今この状況でクリスティーヌに会ってもいいのか?」など、様々な複雑な感情でエリックの様子を探る方が大きいです。その後にシャンドン伯爵が来ると、はっきりと意思を持って止め始めます。


それから活劇が始まるんですが、とりあえずクリスティーヌを保護してから、追いかけきれなくて活劇を見てるんです。


「お前は私の息子」自体があまりにも今考えるだけでも、いつも私にとっても涙ボタンです。すごく辛くて。


「どれほど申し訳なくて辛いだろうか」練習中もそれを常に考えてました。


子供ができたのにあんな風に生まれて、しかも子供をあんな風に育てるしかなくて、父親とは告げないで育っていくのを見ながら、キャリエールと言う人間の気持ちはどうだったろうか。それを考え続けました。


すべての事件が起こって、エリックが死ぬじゃないですか?その後は一体どうなるんだろうか?キャリエールはどうやって生きていったか?生きて行かれたんだろうか?


私は生きていられないと思います。エリックの望み通り、誰にも分からないよう深く葬って、自分も後を追ったんじゃないだろうか。それほど悲しいです。


全体的にそんな気持ちが1番大きいです。はい。



Q 2幕の「お前は私の息子」のあたりで、毎回客席でもびっくりするほど強く膝を落としますが、膝は大丈夫なんですか?


床が思うほどは硬くないんです。プロレスのリングみたいで。音は大きいんですが、痛くはないです。自分でもわからないけどそうなりました。


エリックが「母さんが僕の姿は醜いと言わなかった?」と聞いて、「何よりも美しくて完璧だと言っていた」と答えると、あるエリックはかすかに笑ったり、別のエリックは泣いたりもして。そこで崩れ落ちない父親がいるでしょうか。この世でどんな父親が?


だから私は、強く膝を打つということも意識していない時があります。その痛みが大したことじゃないんです。


(膝がご無事でありますように)



現在エリックの父親であるキャリエールが、若いキャリエールにひとこと言ってあげるとしたら、どんな言葉を1番言ってあげたいですか?


一番難しい質問ですね。自分が自分に言う言葉だから。


「お前にもどうしようもなかったんじゃないか?」と思いますね。


フランスはカトリックの国でした。離婚は禁止されています。なのに真実の愛に出会ってしまった。そんなふうに愛することが果たして


「誰からも後ろ指をさされたとしても、お前にとって悪い出来事だったか?」いつもこう考えてます。


そんな愛の結果として多くのことが起こるから、それを背負っていくのがどれほど大変だろうか?そぶりを見せずに完璧に見せるために、どれだけ大変だっただろうか。


そう思うので、ただ一言、頑張ってと言いたいです。



Q 〈ファントム〉を見に来てくださった、そしてこれから来てくださる、観客の皆さんに一言お願いします。


いつでも舞台から客席を見ると、白いマスクをして、息を殺してすすり泣く皆さんの感じを、その力を、いつも受けながら公演をしています。私たちと一緒に呼吸してくださるのがとてもありがたいです。


私たちの作品〈ファントム〉を心から愛してくださりいつも感謝しています。残り少なくなってきた公演を引き続き応援して見に来てください。心からありがとうございます。


アンニョーン、絶対見に来てくださいね。



キュヒョン編はこちらで