ランスロットはいつ恋に落ちたのか | 韓国ミュージカルを 訳しまくるブログ

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たっぷりした日差しに、つい布団を干してしまった昨日の日曜日。12:30前にあわてて取り入れた勢いで、半そでTシャツのままホカホカ観始めてしまった〈エクスカリバー〉。

 

改めて思ったが、なんとスキのない構成なのだろう。中だるみなんてものはどこにもない。巧みに場面が転換していく。

 

映り込みを防ぐために部屋を暗くしたせいもあるのか、だんだんひんやりしてきて上着を取りに行きたいのだが、画面から目を離すことができず、結局1幕終わるまで動けないまま観てしまった。

 

出生の秘密に多少揺らいだものの首尾よく剣を抜き「あれ?抜けた?俺ってもしかしてすごい?」なんて、のんきな様子のアーサーを見るだけで涙腺がゆるむ。王になることの意味も、これからどれほど過酷な経験をするかも知らずに…なんと不憫なことよ。

 

字幕があるのは大変ありがたいが、字数制限でカットされる細々した言葉たちが気になってしまう。ドラマと同様、字幕の宿命ではある。

 

韓ドラにはまった当初、日本語吹き替えは字幕より多く訳されるけど本人の声でないのが許せず、字幕版だと訳されないセリフがあって満足できず。それなら字幕なしでドラマを分かるようになるしかない!思い起こせば、それが韓国語を勉強する動機だった。

 

ちょっと衝撃的な訳だったのが「より深い沈黙」の一節。

 

結婚式の場面。ギネビアから「一人でいる時間が長すぎるから心配だ。あなたに必要なのは愛、愛する人だ」と言われたランスロットが歌う曲の一節。

 

진실된 사랑은 감히 원한 적 없어

심장이 멎듯 설레는 손길

 

直訳チックにすると

「真実となる愛を あえて望んだ事はない

心臓が止まるかのようにときめく(ときめかせる)手(の動き)」

 

これが字幕だと

「本当の愛など望んだことはない

君が差し出した手に 胸がときめいた」

 

例えば、手を差し伸べたのは運命とか愛だった可能性はないのだろうか。ランスロットはギネビアというより、愛そのものが「遠い」と歌っているのだと感じた日もあった。

この作品が初めて幕を開けた当時、ランスロットはいつの間に恋に落ちてたのか不思議に思う人が多かったので、こう分かりやすく「君が」と補足してくれる日本語字幕に驚いたというわけ。

 

しかも自分から離れてアーサーと踊るグィネヴィアを見つめながら歌うのだから、この時点でランスロットはハッキリした恋心を自覚していると思うしかない。

 

彼はアーサーのために、これまでも恋心を隠してきたが、結婚式も進み、もはや1%の可能性も無いのに以前より大きくなる恋心を「『さらに』深い沈黙」で隠さなければならない、と歌っているんだろうか。

 

散ってしまった雨

消えてしまった香り

跡形さえ残らない

 

これはギネビアに向けたランスロットの恋心のことなのか…。

 

どちらにしても

切なくも哀れなランスロットよ。

 

開幕以降、主役はランスロットだ、いやモーリン・モルガナペアだ、アーサーがダメな奴すぎ、こんな声が多かった。私としては、アーサーが真の王となるまでの内面の戦いを、特にドギョム君に感じたので、そこまでは思わなかったが、ランスロットやドルイド教ペアの魅力が半端ないのは確かだ。

 

今回はカット割りの関係か、それとも細部まで理解できたからか、アーサーの存在をとても大きく感じた。

 

最後ひとりで岩山に登るシーンには胸が痛んだ。でもちょっと正直言うとこのシーンだけは、ボロボロになって登っていくジュンスアーサーを観たかった。カイさんも足を踏み外したりしてくれればいいのに。

 

何より残念だったのは、飛び出す龍を映す気が全然なかったらしいことだ。あの効果を映像で捉えることはできなかったのかな。あのシーンを引きで見られなかったのが心残りでならない。

 

実物なら何倍もの迫力と思われるシーンが多い。いつか再び劇場で迫力にどっぷり浸かれる日が来ると信じよう。