翔ちゃんは
いつかやると思ってた
何人もの人に言われた
私は
そんなに無謀な人間に
見えていたのか
なんだか
考え込んでしまった
ニュージーランドで開催される
耐久レースに出場するための
トレーニングを始めたのは
2017年の年末からだった
実は、この時点では
次のチャレンジを
ニュージーランドのレースにするのか
チームは、まだ確定はしていなかった
だけど「次は、何処でも行く」と
決めていたので
フライング気味に始めた
私の場合は
早ければ早いほど良い
耐久レースは命がけ
それを常に
心に、頭に置きながら
トレーニングをした
次のチャレンジが
ニュージーランドと決まった時
コースが、山中心になるであろう事は
容易に想像ができた
私は、高所恐怖症だった
そして
レース中のコースには
どこの開催国でも
必ず川越えがある
私は、大量の水恐怖症だった
克服できなくとも
「怖くない」と言えるくらいには
なっていなくてはならない
レース中の
怖いから行きたくない
と言うのは
「即リタイヤ」
を意味する
「ねばならない」は
言いたくないけれど
この時ばかりは
心から思った
「絶対に行く」と決めたのは
他の誰でもない自分だったから
理由の分からない恐怖症で
諦めたくない
高所恐怖症だった私は
山登りトレーニングをした時に
山中にある、木でできた
スカッスカの階段を上るだけで
号泣していた
階段と地面には
かなりの空間があった
それが見える事で
恐怖を煽る
面白いくらいに
足がガクガクし
とにかく足が前に出ない
滝のような汗が吹き出た
何度も立ち止まり
泣きなから進んだ
初めての山登りは
滑って転んで
散々な結果に終わり
山への恐怖よりも
自分の不甲斐なさに
悔しくて泣いた
登山トレーニングは
惨憺たるものだった
それも
何度か経験すると
「足を着いて良い場所」
「進みやすい方向」が
分かってきた
そこに「◯」を付けてあげる
と言う事も、自分の課題だった
出来ないことばかり上げて
自分を否定し、凹むクセ
それは、レーツ中
命取りになる
私は、どちらかと言うと
克服が難しいのは
高所の方だと思っていた
が
深刻だったのは
「水」の方だった
トレーニングの為に
区民プールに行こうと決めた
そこには、
設備が整ったジムもあったので
両方利用しようと決めた
が
初めてプールに行った時
入り口で体が強張り
入って行く事すらできず
怖くて泣いてしまい
引き返した
そこまでダメなのかと
ショックで、ジムにも行けず
そのまま帰宅した
悔しくて
また泣いた
それでも
何回もプールに行った
負ける訳にはいかない
でも結果は同じだった
どうしても入り口の前で足が止まる
心拍数が異常に上がり
気持ちが悪くなってくる
そんな日が
随分続いた
気が遠くなりそうだった
「ダメなのかも」
と、思った事もある
しかし、ある日
突然、その時が来たっ
朝、目が覚めた瞬間
「あっ今日だ」と思った
何故、そう思ったのか
今でも分からない
そこを逃す訳にいかない
軽く食事をし
プールに向かった
数日前、見事に玉砕した場所に
自転車を漕ぎながら
「大丈夫大丈夫」と
ぶつぶつ自分に暗示をかけていた
だけど、こうも思った
「無理はしなくていい」と
ところが
何故か、躊躇なく入り口に向かい
受付をすませ
更衣室に入り着替え
そのままプールサイドに向かっていた
この時、最初に
入り口の前で泣いて
帰宅した時から
半年が経過していた
プールサイドで体操をしながら
お決まりのように泣いてしまった
いざ、水の中へ入るときは
さすがに躊躇した
凄く怖かった
暫くベンチに座って
気持ちを落ち着け
プールの中を眺めていた
子どももいる
おじいちゃん
おばあちゃんもいる
凄く楽しそうだった
「大丈夫だ」と思え
無事に水の中に入ることができた
当然、泳げないので
水中ウォーキングのみ
おじいちゃん、おばあちゃんと一緒に
休憩を入れながら
一時間くらいウォーキングをした
その後は
何も問題なく通えるようになった
私には、あの半年間が
絶対に必要だったのだと思う
「行けない」と苦しみ
「なぜ、行けないのか」
「間に合わない」と
自分を追い込んでるうちは
無理だったのだろう
正直、何がキッカケで
その日が来たのかは
いまだに分からない
何か。。。あったんだろうなぁ
きっと
トレーニングの内容は
・ウォーキング
・ランニング
・体幹トレーニング
・プール通い
・ジム通い
関東地区にいる
メンバーとの
・長距離トレーニング
・登山トレーニング
プール、ジム以外のトレーニング時は
必ず、7~10㎏の荷物を
背負ってやっていた
会社への出勤時は
大きめのリュックに
5kgのウェイト
2Lの水(ペットボトル)
合計7㎏を入れ
更に、自分の荷物
お弁当
総重量 8~9㎏
毎日
それを背負って出勤していた
会社帰りは、毎日
一時間ほど ウォーキング
最寄り駅から数駅手前で下車し
そこから徒歩で帰宅した
ある日
「ぶちっ」と
リュックが悲鳴を上げた事がある
速攻で、翌日
新しいリュックを買った
トレーニングは
雨天決行
冬は雪の寒い日も
ウォーキングしてた
レース中は
余程の事がない限り
レース中断にはならない
猛暑だろうが
風が強かろうが
雨が降ろうが関係ない
色んな天候に
身体を慣れさせる必要があった
猛暑で、身体はどうなるのか
雨、風で
どのくらい体温が下がるのか
体力の消耗は、どのくらいなのか
心拍は、どうなるのか
いろんな事を
確かめておく必要があった
こんなこと
普通に生活してたら
味わえない経験
だけど
今だから笑って言えるけど
決める
覚悟する
って
そう言う事なんだ
怖かろうが
辛かろうが
誰のせいでもない
環境のせいでもない
決めたのは自分
だったら
覚悟して
掛からないといけない
終わった時に
「やって良かった」って
言えるように
☆。・:*:・゚'★。・:*:・゚'☆
何度も
言い訳しそうになりました
だけど
そんなことしたくなかった
自分が「やる」と
決めたことだからです
言い訳は
「できない」理由にはならないと
思ったからです
では、また