手頃で重宝していたかつ丼の名店「とん喜 (とん㐂)」も年内で閉店に | じきの食歴

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そんな美味なる料理やお酒の記録を食の歴史として記しておこう

銀座でさくっとカツ丼を食べようと思った時、こちらの店へ足を運ぶことが多かった。
2024年12月末にて入居しているビルの建て替えのため、47年の歴史の幕を閉じる「とん喜(とん㐂)」へ。
銀座のソニー通りから交差するみゆき通りを過ぎてすぐのビルの地下にある店。
入口横に張られているメニューには、とんかつを中心とした揚げ物系の定食類が並ぶ。
店内は、L字型のカウンターとテーブル席が数席。
入口の作りや、会計台からは、かつて喫茶店のような形態の店だったのではないかと忍ばせる。
テーブル席に案内され、メニューを見る。
漠然とカツ丼を食べようと思っていたのだが、さて、通常のと特性のどちらにしようかと迷う。
特性カツ丼定食1530円通常のカツ丼定食は、1150円。
特性の方が、カツが厚く大きい。
そのため、同じカツ丼でありながら、カツ自体の味わいが違っている。
今回は、しっかり豚肉の味も確認したかったので、特性にした。
お茶の入ったグラスの上にお新香の入った小皿を載せて出される。
ほどなくして、カツ丼ととん汁が登場する。
少し粗めのパン粉でカラリと揚げられたとんかつに、ほどよくとじられた卵のビジュアルも見事で、これぞカツ丼だと主張しているかのようである。
少し甘めのタレだが、重たくはない。
全体の量も一般的には、ちょうど良いぐらい。
足りないようなら、単品でアジフライやメンチカツ、ポテトサラダ等を頼んでもいい。
夜には、揚げ物類でビールを飲んで、〆にカツ丼をいたたくということもしていたなぁと懐かしさがこみ上がある。
銀座でこの値段で出し続けられたのも、移転せずにこの場で長くつづけてきたからこそなのだろう。
店には、かつての常連らしき方達が後から後へとやってきていた。
食べ終わり会計する時に、かつては近くに事務所がありよく通ってたという方と店主との会話が聞こえてきた。
同じ通りには、他にもいっぱい定食屋等があったけど、今はほとんど残ってないねぇと話されていた。
同じ通りにあったソニービルも2018年に解体され、来年新しく建て替わる。
銀座の移り変わりに思いをはせながら、地上に向かう階段を登った。

 

 

とん喜とんかつ / 銀座駅日比谷駅有楽町駅
昼総合点★★★★ 4.0