小さなこだわりのイタリアン「OSTERIA celery」 | じきの食歴

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世の中には、美味しいいもので溢れている。
そんな美味なる料理やお酒の記録を食の歴史として記しておこう

昨年9月に亡くなられた、嘉門タツオさんの奥様、こづえさんの弟さんである大原豊さんが2022年末にオープンしたイタリアンのお店「OSTERIA celery」。
茅場町から隅田川方面に向かって、徒歩7分ほどにある路面店。
店内は入ってすぐ右に2名用のテーブル席があり、左側にキッチンとその前に並ぶ6席のカウンター席がある。
店の作りとしては、ワンオペで営業するのに非常に導線が良さそう。
カウンター席のテーブルも、最近たまに見かけるけど、足元のカゴ以外にも背もたれ部分にハンドバッグ等を置けるスペースがあり、これが携帯や財布、ハンカチ等を入れたカバンを置くのにちょうど良く便利で、客のことを良く分かっているなと思わされた。。

メニューは通常はアラカルトのみらしいのだが、貸切だとコース料理も可能とのこと。
今回は嘉門さん主催の貸切会で、ワイン持ち込みのおまかせコースをいただいた。
傍らには、こづえさんも写真で同席。
豊さんとは、海外での修行経験もあるとのことで、出てきた料理は王道的な物。
でも、素材や仕込み、調理工程にこだわっており、そのクオリティーは非常に高い。

先ず、最初に出てきたパンが旨い。
つづいて出てきた料理は、下記のようなもの。

・カルパッチョ カラスミを削りかけて

・レバーパテ
こういうのが旨いというのは、実にポイントが高い

・ポリットミスト(牛テールとうずら豆の煮込み)
テールからのスープを豆が吸い、豆からにじみ出るタンパク質がさらに旨味を増強している

・パスタ2種盛り タリアテッレラムラグーとかぼちゃのラビオリ
自家製麺が実に旨い。トマト系とクリーム系の対比も実にマッチしていた

・イカスミのリゾット
イカスミは比較的苦手だが、ここのは臭みを旨く消していて実に食べやすい

・国産黒毛和牛熟成肉のタリアータ
小さいながらも熟成庫があり、そこで熟成させた肉を出してくれる。
タイミングにもよるのかもしれないが、実に良い熟成加減だった。

・ティラミスとチーズケーキ
・コーヒー

全体を通して、塩味(えんみ)の加減が良いのだろう、素材の味わいをうまく引き出している。
食通の嘉門さん、こづえさんに鍛えられただけあって、しっかりした旨味がありながら、舌に負担をかけない、そんな味。

なお、タリアータを出す時、
「兄さんにもらった皿、今日初めて使います」
と言って出された皿はカンテサンス等でも用いられている富山県の陶芸家、釋永岳さんの平皿。
こづえさんも好きだった陶芸家の作。
そして、たまたまだが、この日は一粒万倍日と天赦日の両方が重なった縁起の良い日。
豊さんも嘉門さんもそういう特別な日だと知らずにこの皿を出すこととなり、二人で嬉しそうに微笑むそのそばで、こづえさんの写真も微笑んでいるように見えた。

 

 

OSTERIA celeryイタリアン / 茅場町駅八丁堀駅水天宮前駅
夜総合点★★★★ 4.5