調和する天丼「くすのきの天丼」 | じきの食歴

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昨年の6月14日に名古屋から四ツ谷に移転してきた天ぷらの「くすのき」が、一時期水曜と木曜のランチのみ開催していた「くすのきの天丼」コースが9月10日~14日までの期間限定で復活営業していたので行ってきた。
ちなみに、今後の営業は現時点では未定とのこと。
揚げ手は、一番弟子の市原辰也さん。
ウン万円の通常コースですら超予約困難となってしまっているこのお店、なんとこの天丼のコースは7000円でいただける。
天丼に7000円なんて高いなと思われるかもしれないが、出てくるのは天丼だけではなく、ちょっとした天ぷらのミニコースとなっている。
最初に本日のネタを見せていただき、料理が始まる。
前菜が1品出てから、車海老に始まり、天ぷらが5種類でてくる。
くすのきらしい、衣は軽いけどしっかりと味の濃縮された天ぷら。
そして、天丼。
こちらの天丼は、かき揚げとか、単品の天ぷらを盛ったものではなく、それぞれのネタを食べやすい大きさにカットしたものをご飯に乗せたもの。
例えるなら、バラちらし寿司の天ぷら版になるのだろうか。
具材は、車海老、セリ、帆立、しいたけ、白魚など。
それぞれの食材は、揚げ時間が調整され、それぞれの旨みが引き出されている。
それが丼の上に配置され、天丼用のツユが回しがけられる。
そして、丼の上に独自の世界を創り出される。
ガツガツと掻き込みたくなる衝動を抑え、一つ一つのネタとご飯をいただく。
どのネタも素晴らしい揚げ加減だ。
色々な食材が味わえ、まるで、丼の上で一つのコース料理が出来上がっているかのよう。
顔をあげたら市原さんと目があった。
思わず笑みがこぼれる。
そして、中盤からネタをいっしょくたにご飯と一緒にかっ喰らう。
ムシャムシャと、口の中で様々な天ぷらから色々な味と香りが溢れ出る。
そしてそれが、やがて一つの味としてまとまってくる。
「調和」
そう、調和だ。
くすのきの天ぷらが、初めて一つにまとまった。
通常のコースでは味わえない、ある意味贅沢な食べ方。
思わず、ガッツポーズを取りたくなる、そんな気分にさせてくれる。
米粒の1つたりとも残さずに、一気呵成に食べきった。
最初は、量的に足りないかもと思ったが、結構な量があり満腹だ。

うん、実に名残惜しい。
今回限りで次回は無いというが、また開催して欲しい。
そうリクエストをしながら退店させていただいた。

 

 

 

くすのき天ぷら / 四ツ谷駅四谷三丁目駅麹町駅
夜総合点★★★★ 4.5