じんわりと染み入る島のラーメン「お食事処 マリちゃん」 | じきの食歴

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世の中には、美味しいいもので溢れている。
そんな美味なる料理やお酒の記録を食の歴史として記しておこう

「今日は、お手伝いさん居ないから忙しいのよ」と言いながら、テキパキとお好み焼きを焼いていく女将さん。
店内には、そんな客いなかったけど、お持ち帰り用の注文がいっぱい入っていたようで、ひっきりなしに予約のお好み焼きを受取りにくる人達が居た。
地元…この島々の人達に愛されている店なのだろう。

正月の3日、天気もいいのでドライブにでも行こうという親に付き合い、瀬戸内しまなみ海道の島々を巡ってきた。
広島県呉市から有料の安芸灘大橋を渡ると、橋続きで下蒲刈島、上蒲刈島、豊島、大崎下島、岡村島を巡ることができる。
海沿いの道が多く、また島と島とを結ぶ橋を渡るには、船を避けるために高くに架けられた橋を渡ることになるため景色を堪能することができる。

そんなドライブでの昼食。正月3日ということで空いてる店もほとんど無いのだが、電話で確認した所、豊島の「お食事処 マリちゃん」という店が空いてたので、こちらで食事をとることにした。
豊島特産の太刀魚の骨から取った出汁を用いた豊島ラーメンが有名で、テレビ等でも何度か紹介されているお店。
ただ、店の場所が分かりにくく、海沿いの街道から細い路地に入って、さらに曲がって奥まった所に店はあり、少し迷ってしまった。
道に迷う人が多いからなのだろうか、道端で昼から酒飲みながら井戸端会議をしていたおじさん達が、こちらだと案内してくれる。気さくでいい人達だ。
店に入ると壁にメニューが書かれていた。
メニューは、基本3種類。お好み焼き、焼きそば、ラーメン。
3人で、お好み焼き そば肉玉と豊島ラーメンをそれぞれ2つ頼んで席につく。
そして、冒頭のセリフに繋がる。

先ずは、お好み焼きが出てきた。
千切りにされたキャベツにしっかりと熱を通して柔らかくした所に、広島風なのでそこに麺を投入して和えられている。
カープソースをたっぷりとかけて、さらにその上にたっぷりのネギが乗る。
余所と比べて、キャベツにたっぷり熱を加えている分、甘味が出ており美味しい。
広島市街地の有名店より美味しいのではないだろうか。
つづいてラーメン。
麺は、とんこつラーメン等で用いられている細麺。少々硬めの茹で加減で小麦の香りもする。
スープは、太刀魚の骨の出汁をベースとした上品な醤油味。ああ太刀魚だと気付けるぐらいにふうわりと香り立つ。
どちらも650円とは思えないクオリティ。
そして、食後にコーヒーとみかんがサービスで出てきた。
コーヒー先に飲んだら、みかんの味わからんくなるけぇ、先にみかん食べんさいと言われ、みかんから食べてると、あと、もらいものだけど、美味しいつけものあるから食べてみなさいと一つまみ(笑)
コーヒー飲みながら、ああ美味しかったねぇと話していると、今度は
「お菓子もあるけぇ、食べんさい」
と。ああ、島の方言が耳に心地よい。
でも、女将さん、もうお腹いっぱいだよと遠慮して席を立つ。
ぶっきぼらぼうな感じのする話しのやり取りだが、それはフレンドリーさと表裏一体である。
ああ、またここで女将さんと他愛もない話をしながら、お好み焼きとラーメンをいただきたいなと思える、そんな店だった。

 

 

お食事処 マリちゃんお好み焼き / 呉市その他)
昼総合点★★★★ 4.5