安倍政権の政策全般に精通し、TPP交渉で中心的な役割を担ってきた甘利氏ならではの内容だ。昨日ご紹介した野田前首相の『かわら版』の無責任評論家のようなとはえらい違いである。

「首脳会談は討論会ではありません」なのだ。

甘利氏は昨年8月に半年ぶりに国会に復帰し、9月には元秘書の調査結果を発表して説明責任を果たした。元秘書の不起訴で法的な決着はついたし、自身は監督責任、道義的責任をとっていさぎよく大臣を辞職している。

そして、年明けからはブルームバーグや産経のインタビューなどに登場し、2月9日には行動を共にしてきた4人の議員と共に麻生派に入会した。そして、翌10日にはBSフジの「プライムニュース」に出演して外交交渉の機微を話すなど、さすがの見識を示している。


2017/2/10 『どうなる日米首脳会談 甘利前大臣 手嶋龍一』【前編】
http://www.bsfuji.tv/primenews/movie/day/d170210_0.html

2017/2/10 『どうなる日米首脳会談 甘利前大臣 手嶋龍一』【後編】
http://www.bsfuji.tv/primenews/movie/day/d170210_1.html


得意のユーモアを交えた話も飛び出している。そして、TPPや貿易収支などの話になったら独壇場である。緻密なのに分かりやすく、しかも、説得力がある。
だから、反町キャスターをはじめ、聞き役に回ることが多いのだ。
 
 
 
 
 
 
影さんが拾ってきてくれたネタが丁度いいかな。
 
 
迷走する安倍信者達
 
『トランプ米大統領のTPP離脱と無策な日本-日本政府の役人は、保身よりも国益を重視した対応を行うべきだ-』~山下 一仁氏
http://www.canon-igs.org/column/macroeconomics/20170214_4119.html

TPP推進派の山下氏の興味深いコラムを見つけました。

要はアメリカ抜きでTPPを批准しろという内容なのですが、私が注目したいところは以下、一部抜粋します。

『(前略)

アメリカ市場へのアクセス、交渉成果はほとんどなし

日本政府は、アメリカ抜きのTPPは意味がないと説明しているようだ。しかし、TPPがなくても日本はアメリカ市場を失わない。今でもTPPは発効していないが、日本は自動車などをアメリカに自由に輸出できる。TPPが発効しないと、日本車をアメリカ市場に輸出できなくなるということはない。

そもそもTPP交渉で、日本はアメリカ市場へのアクセスをどれだけ拡大したのだろうか?
成果はほとんどないのである。
アメリカの関税は、すでに低い水準にある。高いと言われていたのは、20%程度の繊維製品の関税だが、これが撤廃されて、どれだけ日本企業にメリットがあるのだろうか?繊維製品の関税撤廃でメリットを受けるのは、ベトナム等であって、日本ではない。政府調達でも州レベルのものは、これまで約束したもの以上はまったく開放しなかった。


悲惨だった対米市場アクセス交渉

TPPで自動車関係の対米市場アクセス交渉は悲惨だった。
自動車の関税は、現行2.5%の乗用車が15年目から2.25%と削減を開始、20年目で1.25%に半減、22年目で0.5%まで削減し、25年目に撤廃する。25%のトラックは、29年間、関税を維持した上で、30年目に撤廃する。25年目とか30年目とか、関税撤廃まで気の遠くなるような長い期間がかかる。

米韓自由貿易協定で、韓国車に対するアメリカの関税は2017年に撤廃される。日本車は長期間ハンディキャップを負いながらアメリカ市場で競争することになってしまった。

日本政府は自動車部品について、米韓自由貿易協定で韓国が勝ち取ったものを上回る87.4%の関税が協定発効後に即時撤廃されると説明した。しかし、アメリカに対して日本が自動車で支払っている関税は約1千億円、即時撤廃される自動車部品の関税は200億円に過ぎない。このような成果しか達成できなかったのは、日本が農産物の関税撤廃に応じなかったからである。


日本にとってのTPPのほんとうの成果とは

つまり、TPPは、日本企業のアメリカ市場へのアクセス拡大にほとんど貢献しない。TPPがなくても、日本企業はいままで通りアメリカに輸出できる。TPPでアクセスが拡大したのは、これまで相当程度解放されてきたアメリカ市場ではなく、高い関税で保護されてきたアジア途上国の市場である。

経済の実態に疎い政府の担当者と異なり、実際に商業活動を行っている事業者は、TPPのメリットをアジア市場の開放だととらえている。

これは工業製品の関税撤廃だけに限られない。貿易円滑化の一環として、急ぎの貨物の場合、通関開始後6時間以内に受け取り可能となる規定がTPPで設けられた。これはアジア・太平洋地域の物流ネットワークの構築に大きく貢献する。アメリカの力をうまく利用しながら、日本単独ではできない高いレベルの貿易・投資のルールを作ることができた。

日本にとっては、これがTPPの成果なのだ。

他方で、アメリカ、カナダ、豪州、ニュージーランドなどの農産物輸出国にとって、TPP交渉による日本の農産物関税の削減・撤廃は、大きなメリットである。

カナダ、豪州などにとって、アメリカがTPPから抜ければ、日本市場にアメリカよりも有利な条件でアクセスできる。牛肉はアメリカが38.5%の関税を払わなければならないのに、カナダ、豪州は9%の関税を払うだけでよい。小麦もアメリカの半分の課徴金で日本に輸出できる。これらの国にとっては、アメリカ抜きのTPPの方が好ましいのである。日本がアメリカ抜きのTPPを提案すれば、かれらは必ず参加する。(後略)』


まとめると、

・日本は対米交渉惨敗

・日本にとってTPPの目的はアメリカ市場の拡大ではなく、アジア市場の開放

・日本の農産物関税の削減・撤廃は米加豪新にとってメリット


 
TPP推進論者曰く、
 
『 TPPは、日本企業のアメリカ市場へのアクセス拡大にほとんど貢献しない。TPPがなくても、日本企業はいままで通りアメリカに輸出できる。TPPでアクセスが拡大したのは、これまで相当程度解放されてきたアメリカ市場ではなく、高い関税で保護されてきたアジア途上国の市場である。
 
といってるが、
 
 
自動車の海外現地生産と輸出入について - 経済産業省
 
 
(2) 自動車の海外現地生産の地域別動向 
 
~海外現地生産台数はアジアが急拡大し、トップの北米に接近~ 
 
自動車の海外現地生産台数は急増しているが、輸出台数も増加基調で推移してい る。これは、好調な海外現地生産を上回る規模で、日本車の海外需要が活発であること を示唆している。日系自動車メーカーは現地生産を拡大させているものの、旺盛な外需 に追いつかず、日本からの輸出が増えている姿がみてとれる。日本車の海外需要が好 調である要因としては、車両性能への信頼、良好な燃費効率、市場のニーズに対応し た低価格車及びハイブリッド車など多様な車種展開などが挙げられよう(第Ⅱ-3-10 図)。
 
 
 
 
 
 
 
このように現地生産が増えるだけであって、国内の生産拠点が増えるとか、国内の雇用にはほとんど貢献しないというのが実態。トヨタがもうかりゃ日本にも利益があるだろうと言われても、それが日本の労働者や地域経済に還元される保証はどこにもないし、義務もない。そのカネで更に現地生産の海外拠点を増やす投資をするという選択肢もあり、普通だったら真っ先にこれを考える。
 
 
だって現地生産で儲かったんでしょう? 
 
 
 
 
 
 
 
儲かる拠点を増やすに決まってるじゃないか・・・。
 
 
これが安倍信者や甘利の限界なのだ。
 
 
 
面白いコメントがあったので紹介しよう。
 
 
 
 
 
 
 
1. 無題
安倍信者は、内需拡大の提言すら「輸入もの」じゃないと気が済まぬということですね。
うずら 
 
 
 
 
 
 
 
Clean Bandit  
『 Rather Be 』
Vintage Western / "Westworld" Saloon - Style