昨日の三橋先生のエントリーで、産経応援様がデフレ期の乗数効果は高くなる、と主張をされておりました。インフレ、デフレを問わず、限界消費性向に依存するので、私もそれは正しいと考えます。
S : 乗数効果
X : 公共投資額
a : 限界消費性向
S = X + aX + a^2*X + ・・・
aS = aX + a^2*X + ・・・
( 1 - a )*S = X
S = { 1 / ( 1 - a ) } * X
つまり乗数は 1 / ( 1 - a ) となり、限界消費性向が大きいほど、乗数効果は高まります。
ここまでは入門中の入門で、カンチョクトが答弁出来なくて恥を晒した内容です。
ところがデフレ期には、消費、投資に関する抑制作用、物価そのものが低いなど、波及効果が限定的になる、という事が考えられます。 つまり、理論上では無限等比数列の総和であるが、デフレ期とインフレ期では、波及範囲に差が生じる、という視点です。
これを、デフレ係数 d : ( 1 > d > 0 ) と仮定して、乗数効果を算出してみると、
S = X + ad*X + a^2*d^2*X + ・・・
ad*S = ad*X + a^2*d^2*X + ・・・
( 1 - ad )*S = X
S = { 1 / ( 1 - ad ) } * X
よって乗数は 1 / ( 1 - ad ) となります。
ここで現時点の限界消費性向を 0.5、デフレ係数を 0.5 とすると、乗数は 4 / 3 ( 1.333... ) となります。デフレ係数を除外すれば、2 となります。
あのモデルの構造は知りませんが、このようにデフレ変数を一つ加えるだけで、乗数が激減してしまいます。需給ギャップが埋まった状態、つまり 供給 = 需要 の時点で、デフレ係数が 1 になり、インフレになればそれ以上になると仮定すると、あの乗数の説明も出来そうです。
今回は単純に一つの変数を加えましたが、これ以外に様々な変数を加えていくと、乗数の変動の説明など誰でも出来そうな感じがします。要するに極めて如何わしいという事です。
乗数を大きくする工夫は必要と思いますが、財政出動の必要性は揺らぎません。
以上