
2年前の拙ブログにて、私が大学新卒後の就職先H社の派遣店員として、そごう神戸店の催し会場店頭に立ち、催事でバレンタインチョコ(ケーキ)への文字入れを担当した話を致しました。
当時はまだ22歳の若さでもあり、運動部系の体力と気合ひ任せで様々な業務に挑戦する気力に満ちてをつた頃です。加へて大学應援團の現役時代に、神戸は三ノ宮の夜の街を闊歩してゐた経験もあり、遊興の方面では会社の同期と比べて五歩も十歩も先を行く存在だつたのです。
当時は、親父世代が行くキャバレーが夜の街に軒を連ねてをりました。大きなステージを囲むボックス席が百席以上ある大店では、三ノ宮では新世紀、月世界、ゴールデン赤坂といつたところが有名でございました。頭上には大きなミラーボールがゆつくりと回転し、夜の妖しい雰囲気を醸し出す店々でございます。
通常さういつた店は、社会人でも功なり名を遂げた方々や、その周辺のエリートサラリーマンが多く、大学生風情が足を運ぶところではありません。ところが、應援團の場合は出世したOB先輩に呼ばれて随行する機会が、比較的多いのです。当のOBにしてみても、取引先や上司と店へ行くよりも、たまには自分のことを無条件に立ててかしづいて、何でも「オスッ」で応へてくれる学ランの若い衆を連れて行くほうが、馴染みのホステスさんの手前、いかにも鼻が高い思ひが出来るといふ利点もあつたのでせう。
それになぜか、学ラン姿の團員はホステスさんといふ職業の方々にウケが良かつたのです。つひ「あんた故郷に居る弟と同い年やん」「あたい九州やけん男らしいの好きじゃー」「此ん子よかにせたい」てな感じで歓待されモテた錯覚に陥るのです。
普段は学生風情がさほどの金を持つてゐる訳ではないので、OBのお呼ばれでない時は、キャバレーは無理でもミニキャバレー、サロンくらひは行くことが出来ました。店名で申しますと、ハワイ、クインビー、ロンドンといつた所です。当時はTVコマーシャルもしてをりました。「楽しいロンドン、愉快なロンドン…」などは有名ですね。これらの店は大体、価格は早い時間帯で30分3,000~4,000円で遊ぶことができました。
恥づかし乍ら、私も「女性恐怖症」を治すために通つた時期がございます。その際に知り合つたホステスさんたちが、拙ブログにありますやうに、そごう神戸店の催し会場でチョコレートメッセージコーナーへ大挙して見学に来て下さつた… といふのが事の真相でございます。
この日ご来店いただいた返礼に、後日ロンドンを訪ねたところ、もう皆辞めたといふことでした。顔見知りのボーイさんに尋ねたところ、「もう年も年なので、年齢制限の無い『ゴールデン赤坂』へ皆移りましたわ」と、こつそり教ゑてくれました。まだまだ30~40歳代なのに厳しい社会なのですね。
そこで赤坂を訪ねたところ、「トリトンちゃーん」と皆さんの大歓迎を受けました。今夜は同窓会じゃー、飲むぞー!
折しも、この日の舞台は、お色気リンボーダンス。まずは極限にまで布を節約した衣装に身を包んだ女性ダンサーが、徐々に高さを低くしてゆき、たつた50cmの竿をリンボーでくぐるクライマックスの後、今度は会場からお客様を募るといふ「酔客全員参加型リンボー大会」でございます。
周囲に半ば押し上げられる形で参加させられた私は、この日最も若い客だつたと存じます。
人様の頼みを断れない性格の私。持ち前の運動部系の体力と気合ひ任せで、この日は1mのリンボーをくぐり抜け、見事優勝。ボトル1本をプレゼントされたのでございます。
今思ひ出してもアホだつたと、汗顔赤面でございますが、これもまた若き時代の一頁でございます。