孤宿の人〈上〉 (新潮文庫)/宮部 みゆき
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宮部みゆきさんの時代小説です


この物語はフィクションではあるのですが

あとがきによると

四国の丸亀藩のお話がベースになっています


宮部さんの作品には神がかり的なお話とか

人智・人力を超えたもののお話が多いのですが

この作品で描かれる「そういったもの」は

普通の人たちが創り出してしまう魔や鬼です



そしてそんな禍々しいものを澄んだ心で見つめる瞳


理不尽な環境に置かれながらも

必死に生き抜く「ほう」という名の女の子


「ほう」は望まれずに生を受けた子

生まれた時から「阿呆のほう」と呼ばれ続けますが

心ある人たちにも出会うことができ


やがて、魔物という扱いを受けながら生きることを選んだ

「加賀様」から

阿呆のほうではなく

方向・方角を表す「方(ほう)」という名をいただき

最後には「宝(ほう)」という名をつけてもらいます


加賀様の犯したとされる罪は

実は真実ではなかった


そのことを知る者たちはいるのだけど

それを表に出すことはできない


時代がそうさせたともいえますが

現代社会でもそういうことはあるのかもしれないと

感じました



お話の中で和尚さんがこう言います


嘘が要るときは嘘をつこう。

隠せることは隠そう。

加賀様は丸海におられる。

加賀様も逃げ隠れ出来ぬが

丸海藩も逃げ隠れはできん。

正すより、受けて、受け止めて

やり過ごせるよう

わしらは知恵を働かせるしか

道はないのだよ



嘘はいいものではないけれど

どうしても必要な時もある

その時は知恵を働かせるのだ

悪い知恵ではなく、良い知恵を働かせるのだ


大切なものは何か

大切なことは何か

なくしてはいけないものは何か


忘れずに生きていきたいと思った作品です