冗談じゃない。


なんで今頃、渡さなくちゃならないのよ。


今まで放っておいて何が、肉親よ。


どんなに大事に育ててきたか、


私たちがどんなに家族だったか、


あんな小さい子が


見ず知らずの他人の家で、


どんなふうな気持ちで育ってきたのか、


わかっているのかしら。


血の繋がりなんて、たいしたもんじゃないわ。


でも、なぜ?


なぜあの子は出ていくことを選んだの?


「Ms.ORIHARA?」


「YES.」


「ご主人様がお会いになるそうです。」


私は、ゴクリと、喉を鳴らした。