「オヤジ、 心配じゃないのかよ。
え?
何聞こえない?
ジャカルタ?
はあ?どのくらい?
2ヶ月??
家こんな状態なのに引き受けたの?
ざけんなよ、え?待てって切るなよ!
おい!こらっ」
オヤジからの電話は要件だけ言って切れた。
どうやら海外に出張に行くらしい。
あいつのことだ絶対海外逃亡だろ。帰る気ないと見た。
ズリぃんだよ、昔から、面倒なことから逃げやがって、
おかげで俺は小学生まであんたの顔知らなかったじゃんか。
樹里だってあんたが連れてきたんだろうが、
オヤジの辞書に責任感てのはないのかよ。
「あら、どうしたの顔が真っ赤よ、
お茶もういっぱいどう?」
息を切らして怒りまくっている俺にばあちゃんがのんきに話しかける。
「あ~もうっ何なんだようちの家族!
…
ばあちゃん、杏樹の面倒頼めるか?」
「杏ちゃん?いいけどどうして?」
「俺の家族、引っ捕まえて元に戻す。」
「あらまあ、男ね一樹、おばあちゃん応援しちゃう。
で?手始めにどうするの?」
「まずは樹里から探す。あいつが元凶だからな。」
「なんだかワクワクするね~」
「ばあちゃん、遊びじゃないんだからな。」
「わかってるよ、まあ、ここはノリでしょ一樹。」
「はあ、ホントにわかってるのかよ。」
ばあちゃんに協力してもらうことになったのは案外正解だった。
妙にノリノリな気の若いばあちゃんにこのあと助けてもらうことになる。