イブの夜に
それは星の綺麗な夜だった。
それは、地上に降りたった。
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俺の名前は、
MONO42号
この星地球上の生物ではない。
いわゆる宇宙人というやつだ。
この星の研究は飽きるほどした。
どうやら、人間というものが支配しているらしい。
そしてこの夜。
人間が一番気を緩める日だと
記憶している。
だから俺はこの日まで、ずっと待っていたんだ。
俺は、火星に住む火星人。
調査会社に勤務している。
火星の食料事情が困窮しているので、食料となりうる、
資源の豊かな地球の移住を計画している。
問題は、地球にも生物がたくさん存在して、生活を営んでいるということだ。
そこで、我調査会社で調査しているのは、
移住して、共生できるかどうかということだ。
侵略?とんでもない、火星人は平和主義だ。
今回は日本という区分の小さな島国のとうきょうというところらしい。
万全を期して太陽の沈んでからの行動。
なのに…
なんなんだこの明るさは!!
ここには太陽は関係ないということか?
か、隠れる場所がない!
しかも人族は思ったよりデカイ!
ふ、踏まれる!!
「バカっアブないだろう!!」
しまった声を出してしまった。
人族がジロリと俺を見ると、
掴み上げた。
『わ~何この子サンタのコスプレしてる』
『何~~ちょ~可愛んですけど』
『可愛いどこの子~??』
「ぎゃーやめろ~野蛮なやつめ俺を喰う気か!」
俺はもみくちゃにされながら逃げ出した。
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お。恐ろしい…きゃーきゃーと
超音波を発する恐ろしいやつらだった。
報告書に特筆しなければ。
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逃げ込んだ場所は、一層明るい場所。
色とりどりのモノがずらりと並んでいる。
食べ物の匂いが色々入り混じっていて
やや不快だ。
どうやらここで色々なものを金属や紙と交換して、
持ち帰るようだ。
店というものだな。
確かスーパーマーケットというのがかつての報告書にあった。
なるほど。ここでなんでも揃うというわけだ。
と、
何やら甘い匂いがするのでよっていくと、
小さな生き物がいた。
これは人族のこどもというものだったと気づいたときは
もう遅くて~
『わんわん~』
と言いながら俺の耳を引っ張った
「ぎゃーやめろ~」
俺が叫ぶと、
そいつも
『わ~ん』
と威嚇してきやがった。
俺はあえあなく退散した。
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人族はこどもも野蛮である。
よし、しっかり記録だ。
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逃げた先はまたやけにうまそうな匂いがする。
さっきとは打って変わって静かな感じだ、
『おやっさんもう一本付けてくれ、
がんもにイカゲソ、こんにゃくにたまごくれ』
なんだ呪文か?
俺が近づいていくと、
そこにいた人族が、
『なんだお前どこからか逃げてきたのか?
ははは、よく来たなあ、こんな夜は、
一人より二人二人よりもう一匹って、
なっおやっさん。
おやっさんこいつに卵と、牛すねでもやってくれ。』
『はいよ』
そう言って
俺の前に素晴らしくうまそうな匂いの食べ物らしきものを
おいた。
ガツガツと食べると、
そいつは満足そうに笑って、
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『うまいか~?
それは俺からのクリスマスプレゼントだ。』
といった。
そしてグイグイと俺の頭を撫でつけ、
『メリークリスマス』
愉快そうに笑った。
俺は、気分よく宇宙船へと帰った。
人族でも友好的なモノがいる。
報告書に記録しよう。
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それにしてもあの呪文のような食べ物はうまかった。
なんというものだったんだろう。
早速調査資料と照らし合わせつつ、
以前こちらで手に入れたというPCなるもので調べてみた。
慣れないため、ガイドを見ながら…
おお、あの食べ物はおでんというのか、
なるほど。
記録しておこう。
ん?
これは!
YOHOOなる検索ページに写り込んだ画像を見て驚いた。
俺にそっくりじゃないか
お犬の気持ち12月号
今月の表紙のワンちゃんは
ポメラニアンのたつおくん
そこには、サンタの格好をした俺にそっくりな
生き物がいたのだった。
まさか…
「おやじ!」
紛れもない、地球調査に出かけたまま行方不明になった
俺のおやじが写っていた。
fin.
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚
あなたのおうちのワンちゃん。
もしかして火星からやってきた宇宙人ではないですか?
Merry Christmas!