千葉からその返事が来ることもなく。



僕らは、繋がれるツールを持ちながら、


それを使おうとはしなかった。



なぜかと聞かれたら、



「好きすぎるから」



と答える。



多分千葉も、同じ想いだ。



最後に過ごした、言葉を交わさなかったあのふたりだけの時間が


僕らの全てだった。



僕らは、言葉でなくて心で繋がっている。



だから、電話という中途半端なつながりは、


逆に切なくて辛い気持ちが大きくなる。



そんな気がするから…



----------------砂時計時計


年末のほとんどを病院で過ごし、


父さんに迎えに来てもらって大晦日に家に帰った。



母さんはといえば、のんきに丸大デパートに、


五穀家の限定おせちをゲットするために開店前から並んでいるとのこと。



年越しそばもきっといつもの「とんべー」か「青いたぬき」だろう。



これでいいのか、専業主婦。



久しぶりの僕の部屋、最後の日


千葉はこの部屋に泊まったのだろうか、


何げに開いたピアノに手紙が挟んであるのを見つけた。



「え?なにこれ。」



【机の下】



つくえのした?



「あ」



机の下にぺたっとシールが貼ってあった

シールにはネームペンで、



【カバン】



カバン?通学カバンか?



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