「うん。おれも。千葉が好きな人で良かった。


 俺を好きって言ってくれて、


 ありがと。


 これからもずっと千葉を思うよ。


 ピアノ弾くとき、いつも千葉のために弾く


 バスケしてる時も千葉が応援してるって思って頑張る。


 なあ千葉…


 これでさよならじゃないよな、


 そばにはいられないけど、


 それでも俺が千葉が好きで、こっちで千葉を思うのはやめないから。


 いいんだよね。」



「うん…あたしもずうっとたかちゃんを思うのやめない。


大好き。」



千葉がぼくの手をそっと握った。


そして、そのままいつまでも俺たちは見つめあった。


言葉はいらなかった。


それはもう


長い長い時間。


忘れないように、お互いを心に刻み込むように


僕らの初恋が決してここで途切れて欲しくない…


それがどんなに難しいことでも


永遠につながれると信じることしか、


それしかできないのだから…




初めて二人で見た音楽室で見た夕日


妙に鮮明で心に刻まれていた。


あの日から40日


そして病室に差し込む夕日も


僕らの顔を少し染めた。



何年経っても、大人になってもきっと忘れないだろう。


短い時間だったけど特別な二人で過ごした時間は、


神様からもらったプレゼントだったんじゃないかな。



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「たかちゃん?なんだ寝ちゃったんだ。


 手術のあとだもんね、


 ふふ、可愛い。」



そう、麻酔が聞いているのかなひどく眠い


少しでも千葉といたいのに


少しずつ意識が遠のいて



千葉、好きだよ。





これが千葉との最後の時間だった。





次に目が覚めた時



そばには母さんがいて、千葉が行ってしまったことを伝えた。