「みっくん!!」
玄関のドアを開けた瞬間母さんが泣きながら飛びついてきた。
「な、何?」
ぎゅうぎゅう抱きしめられながら、訳が分からず目が点だ。
「こんな時間まで、どこにいたんだ?」
「と、父さん…早いんだね?」
「母さんが、お前が家出したと大騒ぎして電話寄越してね。」
「家出????なんでそういうことになるんだよ?
部活してればこのくらいの時間…
あ。もしかしたら…」
父さんは呆れた顔して、母さんに言う。
「やっぱり、なんでもなかったじゃないか。」
「だって、部活はやらせないように学校にお願いしたのに、
帰ってこないし、みっくん怒ってるんじゃないかって思って…
どんどん時間が過ぎても、帰らなくて、
家出しちゃったらどうしようって…」
「はあ、もうやっぱり母さんだったんだ、学校に電話したの?」
「だって…また指でも怪我したらと思うと…」
「そういうことは、俺にちゃんといいなよ、恥ずかしいだろ。」
「うん。ごめん。
でも、みっくん最近お母さんと話ししてくんないじゃない。」
「普通だよ。じゃあ、母さんはぼくが悪いっていうの?」
「そうじゃないけど!」
「ああ、もういいだろ?いい加減にしなさい。
今回は母さんが悪い。天道には天道の考えがあるんだから、
とにかく無事帰ってきたんだ。それでいいだろう。」
母さんはプンとして、部屋の奥に行ってしまった。
ああ、ウザ、いつまでも子供扱いしたがるんだ母さんは。