そして私は、車の中にいる。


「あ、あの、すみません。送って頂いちゃって。」


うっかり話し込んで真っ暗になってしまった。


「心配だから送っていく。」


というのせっちを、断っていたら。


なんとのせっちのママに送ってもらうことになってしまった。


「いいえ、買い物に行く予定だったし。こうして安土さんともお話できるしね?」


「は、はい、ありがとうございます。」


「引越しされるんですってね?」


「はい。今学期いっぱいです。」


「残念ね?せっかく仲良くなれたのに。安土さん。あなたのおかげで、


あの子すごくいい音出すようになったの


前は、正確で固くて、刺々しい音だったけど、


今は優しくて、何かを伝えるような音を奏でるの。


転校しても応援してあげてね?」


「あ、はい。」


「これ、私の携帯アドレス。携帯持ったら空メール頂戴。」


「?は、はあ。」


「絶対よ!」


のせっちのママってちょっと変わってる?