二人の間に流れるシンした空気。


ぼくはやってしまったという焦りと、


もしかしたら違う答えが貰えるんじゃないかという甘い期待で、


手のひらにじっとりと汗をかいていた。




「あ、あのさ、ごめん、しつこくて迷惑だよね。


 忘れて、いや聞かなかったことにして。」



「…そんなことない。


迷惑なんて…


あたし、誰が好きかって聞かれたら、


のせっちだって答える。」


「え?」


「でも、無理なんだもの。あたし付き合うとかできない。


知ってるでしょ、あと一ヶ月とちょっとしかここにはいられないんだもの。


だから…」


「俺が好きなの?」


「だからそういうんじゃ、え、あれ?」


「俺が好きってことだよね。」


「うん。でもね、付き合うとかは…」


「そんなん全然OK!マジ?ほんとに?やべ、すげ嬉しい。


いいんだ、今まで通りで。好きって言ってくれただけで満足。


千葉が笑っててくれたらそれでいいよ。」


「あたしだって、好きって言われてこの前だって嬉しかった。


ちゃんと答えなくてすごく後悔してた。


でも、いいの?本当に?いなくなっちゃうんだよ?」


「あと一ヶ月もいるじゃん。


なあ、


俺の夢の話しようか?」