秘密だよ? 8

僕のカバンのポケットには秘密がある
大切な僕の恋心

ペナルティ筋トレが終わった時には、すっかり日が暮れて、
体力も筋力もボロボロだった。


「のせっち!お疲れ。俺赤チームで良かった。」

ははっ
と呑気に笑うのは、バスケ部で、しかも同じクラスの竹野内。

「うるせ~よ。」

「おま、佐伯と何話してん?」

「昨日、部活サボって、千葉と音合わせしてたのバレた。」

「あ、わりぃそれ俺だ。」

「はあ?」

「いや、普通にお前のこと佐伯に聞かれたんで、
コンクール近いんで練習してるんじゃないかって言っちゃったんだけど、
まずかったのか?」

「いや、家の用事だってごまかした俺が悪いんだから。
一週間猶予もらったしな。」

「けどお前、練習いらんだろ?弾けてるし?毎年伴奏賞だってとってるし」

「千葉がさ、本気なんだよ。練習というより音合わせ?」

「ふ~ん、千葉ねえ?」

「なんだよ。」

「まあ、お似合いだよ。うまくいくといいなあ?」

「ば。馬鹿そんなんじゃねーよ。」

「いいけどさ、あれだろ?アイツ来月転校すんだろ?」

「え?」

「あいつんとこの親父の会社、近くにある工場閉鎖されるらしいよ。
 千葉に転勤するんじゃなかったかな?」

「そうなのか?」

「本人が担任に言ってたの聞いたから確かだぜ?
 近所のパート行ってたおばさんがボヤいてたから、工場閉鎖も確かだしな。」

「だから、あんな必死なのか。絶対優勝したいって言ってた。」

「そっか、思い出作りか?ダッセーけど協力してやるか。
 クラスまとめてやるかな?」


「だな。」

ぼくは思い出していた。
千葉の遠くを見つめる綺麗な横顔。
この学校での思い出作りたかったのか。
やばいやけに切ない。

それにしても、
千葉が千葉に…ダジャレか?

To be next!