「ぐー。」

窓辺で日向ぼっこをしながら
昼寝をするのがじいさんの日課だ。
頭には緑のベレー帽、お気に入りの帽子。
起きたときも、ごはんのときも、
こうやって昼寝をするときも、
夜に歯磨きをして寝るときも、
それこそ一日中帽子をかぶっている。
じいさんは
この帽子をかぶって毎日仕事をし、
この帽子をかぶって空を見上げ、
あるときはこの帽子を孫にかぶらせて
微笑んだかもしれない。
きっとあの帽子は
そんな他にはかえがたい帽子なのだ。
「ちょっと、ちょっと!じいさん!」
窓辺で昼寝をしていたじいさんに
ちょうどじいさんの孫ぐらいの
アネゴ介護士が声を掛けた。
「ちょっと。」
「じいさん、帽子脱いで、洗うから。」
なんと、じいさんと帽子の週に一度の別れがやってきた。
「洗わないう゛」
じいさんはもちろん要求を拒否。
「洗わないって言ったって、
いっつもかぶってて、ホコリがすごいんから
きょうは天気もいいし、洗ったってすぐ乾くわよ。
はい、貸して。」
と、ツカツカと迫り来るアネゴ。
「だだだ、洗わないう゛、きれいなんだう゛!」
「洗うの。」
「あう゛!」
アネゴにあっさり帽子を取られ・・・
洗濯機へ。
こうしてじいさんのこだわりの帽子は
週に一度きれいに洗われるのだ。
帽子を取られたじいさんは
どうしてるかといえば・・・
ちょっと![]()
じいさんどこから持ってきた?それ。
こだわりの帽子が鎮座していた場所には
ペロンと横たわる尿取りパッド。
誰かじいさんに帽子買ってあげてちょうだい![]()
「あう゛」







