「お前たちがこの都に流れ着いた竜か まあ楽にするといい」
私達は今人魚と竜の都シーパレスの王である竜の前にいる
「わが名はラギア この都の王だ 貴様らは何故我に会う事を望んだ?」
「大切な…者を取り戻すためです」
右膝を床に着き左膝を深く曲げ右手を左胸に当てたまま私は答えた
「ほう…私に人探しをしろと言うのか?」
「いえ…ヒントが欲しいのです 我らの大切な者は海中から突然現れた竜によって連れ去られました あなたなら彼をさらった者が何者か知っていると思ったので」
「…奴か」
「やはり何か知っておられますか」
「最近この辺りにどこからともなく現れた竜が暴れまわっているという情報はある もしかするとそうかも知れんと思ってな」
「ありがとうございます その者はどこに?」
「暴流の谷だ あそこは流れが強く人魚どころか海竜達ですら近づかない海域だが奴はそこを住処としているらしい」
「それだけわかれば十分です 私達は行くことにします」
「気を付けて行くといい 貴様らに海神の加護のあらんことを…」
そんな王の言葉に見送られ私たちは王城を後にした…
「やはり行くのですね」
「ああ、今まで世話になった」
「気を付けてください 大切な人に会えることをお祈りしています」
「まだ名前を聞いていなかったな」
「メーア、メーア・キャンベスです」
「メーアか…いい名だ」
バスターはすでに潜航魔法を唱え終わり準備を済ませていた
「行くぞ ウッソがどんな目に会ってるか考えたくもない」
「わかってる あいつに何かあったら海の藻屑と変えてやるつもりだからな…」
一方その頃ウッソは
「う、うぅ…」
気が付くと僕は干草の上に寝ていた
「はっ!?」
「気が付いたようだな」
目の前には僕をさらった巨竜がいた
「なぜ僕を助けた?」
「たださらってただ殺すだけでは面白くないだろう?」
「意識が戻ってから食い殺すつもりか」
「食い殺す…それもアリだな」
竜は軽く舌なめずりする
「だったら意識の無いうち殺してくれれば…」
「私は殺すために貴様を連れてきたのではないからな」
そういうと僕を持ち上げ奥へと連れて行く
「…」
そこにいたのは一人の少女だった
「この子は…?」
「最近我が洞窟に流れ着いた娘だ ただ食い殺すにも小さすぎて腹の足しにもならん だがな…」
巨竜は少女をちらっとみて続けた
「この娘は我をみても声一つ上げんし怯えることすらせん、まるで心を失ったようにな これではあまりに不憫ではないか…」
巨竜は小さくため息をつく
「そのために僕を?」
「そうだ 私も長く生きすぎた もう幼子の心などわからん」
巨竜はくるりと振り向き洞窟の奥へと進みながら言った
「貴様、この娘の心を開いて見せろ そうすれば陸に返してやろう」
巨竜はそのまま洞窟の奥に消えた
「自信はない…けど、やるしか」
僕の孤軍奮闘が始まった…
続く