初めて編み物をしたのは、小学生の時だった。母も姉も編み物を嗜む人で憧れが強かった覚えがある。家庭科クラブに所属していた当時、グループで編み物をすることに決まり母に教わりながら、拙いながらも棒編みのマフラーを一つ完成させた。

楽しかった記憶はあるが、不器用故の見窄らしい完成品に「買った方が楽だな」とそこから編み物に手をつける日は来なかった。

 

 

もう一度筆を取る気になったのは、第2子の妊娠だった。第1子に比べて年齢は上がり元気なマタニティライフとは程遠くなった私は、産休に入って以降惰眠を貪る毎日。立ち上がれば股関節が悲鳴を上げ、歩けばお腹が張りとてもじゃないが、動きたいとは思えない。とは言え、産休に入るまで帰宅後気絶する勢いで働いていた私は1週間ほどで暇を持て余す羽目に。

 

 

仕方なく、Youtubeを流していればベビー用のとんがり帽子の編み方なんてものが流れてきた。

どうせ家で寝ているだけならば、何か形になるものでも作るのもいいかもしれない。100均で材料が全て揃うのも、ハードルが低くて良い。

 

 

早速編み始めてみれば、なるほど、できない。

これがもう、全くできない。

 

 

小学生の時にやったのは棒編みだったが、その当時友達がやっていたかぎ針編みに密かな憧れがあった。と言うのも、棒編みは一編みする毎に糸をかけ、編む、かける・・・の動作がとてももっさりして見えたのだ(後々知るが、流派によって違う)。

その点かぎ針は、止まることなく流れるように編み進めている姿がとても美しかった。

 

 

Youtubeで流れてくるニッター達も、するする編んでいる。とても水の中の白鳥のようには見えない。ゆったりと話しながらなんてことないように作品を作っているのに・・・。そもそもだ、初手の鎖編みすら編めないのだ。1個、2個編めたところで見返してみれば大きさもバラバラ。とても見れたものではないの。

 

 

どうする?まだ初めて数日。諦めてしまえば時間的損失が少ないのではないか?

でも既に購入した道具や、毛糸は別の使い方なんて全く思いつかない。勿体無い。

 

 

葛藤の末、とりあえず見た目を気にせず編み進めることにした。

最終的に、とんがり帽子とかぼちゃのパンツを完成させた。無事赤子は生まれ、ニューボーンフォトで使用するまでに至ったのだ。

目は抜けまくり、どこか何段目かすら分からないほど酷い出来栄えだ。

 

 

 

 

だがしかし、この2つを編み上げた私の胸の中には確かに「楽しい」という感情があった。

 

 

ここからはもう坂を転がるだけ、といった具合だ。

夫にはこれ以上どこに毛糸を置く気だ!とニッターあるあるを体験するまでにのめり込んでいる。

 

 

デスクワークで鍛え上げられた、立派な肩こりを編み物で更に鍛える毎日。

あぁ、今日も編み物は楽しい。