18日深夜に発生した甘粛省臨夏回族自治州積石山県を震源とする地震により、すでに148名の死亡が確認されています。氷点下まで冷え込む現地では、現在も救助活動が行われています。

こうした中、残念ながら中国のネット上では、災害の大きさよりも芸能人やインフルエンサーの募金額の大きさについて注目が集まる事態となっています。

中国メディア・網易新聞（12月22日）は、中国のトップインフルエンサーで、「口紅王子」の名で知られる李佳琦（リ・ジャーチ）について、震災の募金額が500万元（1億円）だったことについて、ネットユーザーから批判の対象となっていることを報じています。

李佳琦と言えば、一度のライブ配信で美容品などの商品を数億円も売ることで知られるトップインフルエンサーで、年収30億円越えとも言われています。

中国のネット上では、災害発生後から芸能人やこうしたインフルエンサーの募金額がランキング形式で紹介され、李佳琦について「儲けすぎているクセに募金額が少なすぎる」「これまでの利益から考えれば1億元（約20億円）でもいいくらいだ」「500万元なんてこいつなら5分で稼げる金額だ」などの声が殺到し、彼に対する誹謗中傷の声が数多く寄せられているのです。

中国では、数年前から国家の政策として国民全体を豊かにしていくため「共同富裕」という思想が新たに国家の方針に組み込まれ、経済的に豊かな人に対し、積極的な慈善活動を行う指導体制が採られるようになりました。

その結果、中国メディアは大企業のCEOや芸能人の年間募金額をランキング形式で紹介するなどし、利益に対し募金額が少ない場合、ネットユーザーの批判が殺到する場面が多く見られるようになってきました。

なお昨年の募金額トップは、中国の電子商取引企業大手の「京東集団」（JDドット・コム）の創業者兼CEO、劉強東(リュウ・キョウトウ)の149億元(約3000億円)でした。

中国では社会貢献の度合いがメディアによって金額で示され、時にはこうしてネットユーザーの批判に晒されることもあるのです。募金をしてもしなくても批判の対象となってしまう中国。批判の背景には、富裕層への嫉妬もあるのでしょうか。

地震被害拡大の中国 ネットユーザーの注目は富裕層の募金額？

地震被害拡大の中国　ネットユーザーの注目は富裕層の募金額？