ミャンマーで発生した国軍によるクーデター。民主主義国家の道を歩んでいる最中に起こったこのクーデターに、世界各国から非難の声が寄せられていますが、首都のヤンゴンでは、中国とミャンマー国軍の間に親密な関わりがあったのではないかと疑う市民が反中デモを行っています。

ミャンマーでのクーデターについて中国政府は「情勢を見守るべきである」と肯定も否定もしない態度を貫いてきましたが、米メディアはこのほど、ミャンマー国軍が中国国有企業から軍事兵器や武器などを提供されていた報じました。

アメリカ公共ラジオ報道局『ラジオ・フリー・アジア』（RFA）は今月17日、サイト上で、中国国有企業5社がミャンマー国軍に軍事兵器・武器の提供を行っていたと伝えています。

ミャンマーの民間団体『Justice for Myanmar』が公開した報告書から、ミャンマー国軍へ定期的に軍事兵器を提供してきた外国企業16社の内、5社が中国国有企業だったことが明らかになったのです。報告書に記載されていた中国企業は、中国北方工業公司（NORINCO）、中国航空工業集团（AVIC）、中国航天科技集团（CASC）、中国航天科工集团（CASIC）、中航技進出口有限责任公司（CATIC）の5社でした。

《北方工業公司（NORINCO）が製造しているNHM-91》

『Justice for Myanmar』は、ミャンマー国軍に武器提供を行っていたとされる中国北方工業公司（NORINCO）がミャンマー国内で2つの鉱山を所有し、銅などの採掘を行うため現地先住民を駆逐したり、環境汚染を起こしていた可能性に言及しています。さらに、ミャンマー国軍が国会の承認などを得ずに中国と独自に交易を行い、ここで得た多額の資金をもとに少数民族ラカイン族の武装勢力・アラカン軍と紛争を行なってきたとも指摘しています。

ミャンマー国軍は、自身が所有する企業、MEHL（Myanma Economic Holdings Limited）とMEC（Myanmar Economic Corporation）の2社を通じ中国企業と貿易取引を行い、武器を購入したり経済的利益を得たりしていたと言います。

米バイデン政権は、ミャンマー国軍のトップら幹部や、軍と関係の深い企業への制裁を発表しており、今後さらに厳しい制裁を科す構えです。

バイデン政権下でも一部踏襲されると見られるトランプ政権時代の対中政策が今後の米中関係にどのように影響していくのか。世界中がその先行きに注目しています。今後、ミャンマーを舞台に米中関係が更なる悪化の道を辿る可能性もあるのではないでしょうか。

ミャンマー軍の背後に中国の影？米中対立の舞台はミャンマーへ