いると言っていた。だから魔王達が自分達の言うことを聞かないはずがないと。
だが魔王達はライフレスの言うことを少しも聞かない。業を煮やしたライフレスは再度言葉をなげかける前に、手に炎の槍を形成していた。
「アノーマリーの奴が作るものは、どれもこれも躾がなっていないようだな」
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「過激だねぇ」
「死から這いずり出た異形の命には、丁度よいくらいの灸だろうよ」
ライフレスは無表情のまま、炎の槍を魔王の背後目がけて無造作に放った。魔王達も勘付いていないわけではないだろうに、炎の槍を受けるに任せていた。ライフレスの炎の槍はそれなり以上の威力があり、何体かの魔王を貫通すると爆炎となり燃え上がった。さしもの魔王達もドラグレオに噛みつくのを止めるかと思われたが、魔王達は燃え、その姿を崩しながらもなおドラグレオへの攻撃を止めなかった。
「奴らは恐れている」
口をきいたのはルナティカ。相槌をうつのはミレイユとヴェルフラ。
「動物が災いを恐れて集団自殺するのに似てるねぇ」
「それも尋常じゃない怖れ方だ。焼けながらも敵に噛みつこうとするのは」
「おいおい、ドラグレオは死んでるだろ?」
ドゥームが燃える魔王達を指さす。だがライフレスが静かにその言葉を否定した。
「どうやら違う様だぞドゥーム」
「はい?」
一体の魔王が燃え盛る炎に攻撃の手をついに緩めた時、魔王達の体はあっという間に砕けて空に散った。少し遠巻きに攻撃していた人型の魔王はいち早く異常を察知して逃げようとしたが、炎の中から飛び出してきた太い腕にその首根っこを押さえられた。そして空に舞い上がった大量の肉塊と血液が、雨のように炎を消してしまった。
全身に血を浴びながら立ちあがったのはドラグレオ。暴れる魔王を屁ともせずその手で絞め上げながら、ドラグレオは悠然と立ち上がった。
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「無傷だと!」
「マジかよ。飛び散っていた血は一体なんだったんだ?」
ドゥームが疑問と不満の声を上げる。リサはその答えを知っていた。ドラグレオは魔王の猛攻の前に、確かに傷を負っていた。いや、むしろ何度も死にかけたろう。この至近距離ならばいかに戦場であろうとも、リサには詳細がわかっていた。魔王達の攻撃は確実にドラグレオの目を抉り耳を削ぎ、髪の毛を引き抜きその肉を、皮を引き裂いていた。いくつもの刃や歯が骨に達し、深いものは心臓に達していた。常識で考えればドラグレオは何度も死んでいるはずである。
だがドラグレオは死ななかった。牙が肉に食い込む。すると肉がその牙を押し返して欠けさせんばかりの勢いで再生する。爪が心臓に付きささる。すると噴き出す血はその爪を押し返して派手な鮮血を周囲にまき散らした。つまり、ドラグレオは傷つく端から端から、凄まじい速度で再生していたのだった。
リサはその事実を感知しながら、誰にも言い出せずにいた。致命傷すら一瞬で回復する再生力、それはもはや不死身にも等しい。攻撃が食い込むたびに増していくその生命力に、リサは圧倒されていたのだ。これではまるで、大地そのものを相手にしているようではないかと。そんなバカげたことをリサが誰に言えようはずもない。
だがそれでも戦意をいまだ失わない者達がいた。ヴァルサス、ミレイユ、ライン、ゼルドス、ライフレス、ヴェルフラ、ルナティカ、そしてアルフィリース。彼らは一様にドラグレオを睨みつけると、それぞれ得物を抜きながらドラグレオに歩み寄っていく。
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