前日友達と遊んでいたときに、梅毒について聞かれることがあったので、自分の知識として知っていることを書き込もうと思いました。まず、梅毒は、性行為によって感染する病気で、感染後1カ月で性器や口にできものができます。続いて、3が月経つと、手の平や全身に発疹ができます。これらは治療しなくても消失します。そして、治療せず放置すると、数年~数10年後に神経などに異常をきたすことがあります。もう1つ怖いのが、梅毒に感染した妊婦から胎児へ垂直感染し、難聴や知的障害を持つ赤ちゃんが生まれる恐れがあることです。

治療法は、抗生剤の投与ですが、一般的な風邪等の際にも処方されるペニシリン系の抗生剤になります。

次に感染者数をみると、ここ数年増加傾向で、コロナ前の2019年は男性4387名・女性2255名だったのが、2022年は男性7085名・女性3658名で初めて10,000人を超えました。年代別をみると、女性は圧倒的に20代が高く、男性は全年代で高い傾向がみられます。なので、現在妊娠適齢期の20代女性が梅毒に感染していることが非常に問題となっています。

続いで、検査法についてです。

梅毒の検査法はSTS法・TPHA法の大きく2種類あります。

STS法は梅毒に感染すると生成されるカルジオリピンというリン脂質を抗原を検出する方法です。検査の種類によりRPR法やラテックス凝集法と言われることがあります。

TPHA法は、梅毒に対する抗体を検出する方法です。こちらは、IC法やCLIA法(化学発光法)やFTA-Abs法があります。

STS法は、感染2週間程度から検出可能なので、早期の診断に利用されます。また、こちらは梅毒治療するとリン脂質抗原がなくなるので、治療後の判定に用いられることもあります。一方で膠原病や感染症で偽陽性となることがあるので注意が必要です。

TPHA法は、感染3カ月くらいしないと検出できません。そのため、感染が疑わしい行為があった際に検査するのに注意が必要です。ただし、感度・特異度が高いので、信頼性は高い検査になります。なお、梅毒に一度感染すると梅毒抗体は消失しないので、これからずっと陽性となることがあります。

臨床では、こられ2つを組み合わて梅毒陰性や梅毒治療後や梅毒感染中等を評価します。

 

近年、マッチングアプリや売春等で、不特定多数との行為が多くなっており、1回くらい大丈夫という気持ちが梅毒含め性感染症に感染し、知らない間に他人に移す可能性があります。

また、抗生剤が広まっている現代は、知らぬ間に梅毒が治癒しているということも聞いています。

妊婦は風疹の抗体価を調べることになりますが、今後は併せて梅毒の検査も行うべきではないでしょうか?

 

以上です。