今日も昨日に引き続き量子現象の関連論文を読みます。
本論分も、昨日と同様
「意識の認知科学」に掲載されている
「脳と量子過程」フリードリッヒ・ベック、ジョン・エックルス
本論では、
「量子論の議論は二つの側面から考える必要がある。
一つは認識論的側面から・・・
もう一つは、神経活動に量子過程の寄与を考える」
という二つのうち、
量子現象の量子過程をシナプス前小胞グリッドの活動に適用します。
昨日のように量子状態の収縮・崩壊を意識の認識論として捉らえるのじゃなく、
量子過程をシナプス結合のメカニズムとして解釈しようと試みます。
まず感想、
この論文だけでは、(書いてあることは大体わかるのですが)詳細は全く分かりません。多分著者も詳細の説明をして、本論文の正当性を主張しようと考えているわけでなく、概略だけを示したかったのでしょう。詳しくは他の論文を読みなさいと。
そして、こんな論文ですから、多分翻訳者も内容をつかみきれなくて、翻訳文が意味不明のまま示されているのです。理解できなかったのでしょうか。
従って読み手である、私も理解できないのは当たり前です。もちろん、私が理解できないのは、量子力学に対して不勉強であるというところが多いのですが。
さて、その内容ですが、
シナプス結合を通し、前部からシナプス小胞を分泌し後部のシナプス後膜へ渡すメカニズムを量子のトンネル効果モデルで説明しようとします。
御存知のように、軸策中を走る神経発火パルスが軸策の先端シナプスに到着すれば、シナプス結合を通して、シナプス前部からシナプス後部へとシナプス小胞が渡されます。この現象の積み重ねにより、次段の神経細胞が発火します。
このシナプス小胞が次のシナプス後膜へと渡るためには、開口分泌と呼ばれる過程が必要です。開口分泌とは、シナプス前部から小胞が分泌される事です。
この開口分泌が発火パルス1個に対し1回分泌が出来ていないのです。
その理由に量子のトンネル効果モデルを使います。
あるときはトンネルを突き抜け、あるときは突き抜けないと説明をするのです。
突き抜けるか突き抜けないかは、量子状態の崩壊により決まるのです。
トンネル効果は量子現象です。量子の井戸などのモデルで電子が壁を突き抜ける事が計算されています。シュレーディンガーの方程式を解くのです。
筆者らは方程式を計算しました
一次元の方程式で時間もパラメータとして計算して要るようです。
確かに結果がでています。
たしかに、
シナプス小胞が量子であり、
シナプス結合が仮定されたポテンシャルバリアー・壁で、
この量子がこの壁を透過しています。
よくしられた、
電子のトンネル効果は一般的ですが、電子のサイズに比べ、小胞のサイズは桁違いに大きいので一般的な現象とは思われません。
シナプス小胞がトンネル現象を引き起こせるのかという事です。
いずれにせよ、
本論文はシナプス結合における、開口分泌が量子過程による確率的なものであることを主張する、とともに
この確率的なものが、デンドロン、サイコンを形つくり
「知覚、意図、観念」として活性化される。
らしいのです。
という事で、我々が期待していた、
この最後に書かれている、「知覚、意図、観念」に対しての詳細な説明はありません。
残念ですが、この論文はあくまでも神経細胞の量子論的解釈だけにとどまっているのです。
というわけで今回はあまり面白くはありませんでしたね。