あいちトリエンナーレ2019。
3年に一度の日本最大級国際芸術祭に、母校名古屋芸術大学の舞台公演公募プログラムで参加させていただきました。
「情」をテーマに、日本の様々な時代の美しさを世界の音楽で彩る、素晴らしいドラマチック・ミュージカル・コンサートでした。
正直、想像を超える素晴らしさで、驚きと感動ばかりでした。終わってみて、まだ興奮が続きますが、この舞台に参加できたことに感謝でいっぱいです。ありがとうございました。
 
 
ミュージカルとの共演
中国語でミュージカルは音楽劇と言います。中国にも音楽劇はたくさん素晴らしい作品があります。
今回、日本の、現代のミュージカルとの共演は初めてのことで、イメージと全然違いました。音楽、歌、踊り、衣装、演出、照明、音響、出演者スタッフの皆さんが力を合わせて創っている姿をみて、本当に感動しました。
二胡がどんな風に取り入れられるのか、素敵なオリジナル現代音楽の中でどう日本の情を表現するのか、1音下げて演奏する難しさや、全体の構成の中でこのシーンがどうつながっていくのかとか、ぎりぎりまでいろんなこと考えました。
二胡の新しい可能性も課題も見つかりました。本当にいい勉強をさせていただき感謝します。
 
 
国際芸術祭と日本の情
愛知県に30年近く住んで、トリエンナーレに初めて参加しました。本当に豪華な舞台で感動しました。愛知から世界に発信する大舞台で、二胡を日中融合の芸術として取り入れてもらえて本当に嬉しいです。
テーマは「情の時代」。友情、愛情、感情、情熱、日本に来てからいろんな「情」をいただいて、育ててもらいました。日本で初めて作曲したのは「友情の子守唄」というタイトルで、張濱の二胡のテーマは「情」でもあります。
音楽、芸術は、完成は無いと言います。時代、環境によって様々な変化がある。日本で二胡で交流してきて、日本の人々に親しまれる二胡音楽や表現を考えると、日本の人が潜在的に持っている「侘び寂び」の美学にたどり着きます。これが日本の二胡の魅力だと感じています。
今回のミュージカルで、豊臣秀吉の「醍醐の花見」のシーンで演奏しました。その歴史も教えてもらいました。
桜は、日本の美しい代表的な花です。私たちは「桜二胡音楽会」も14年やっていて、桜にはとても親しみがありますが、このシーンを通じて、表現豊かなダンス、学生さんたちの表情、和装の美しさや舞い飛ぶ桜の花...また新たな、華やかな日本の桜の美しさ、魅力を教えてもらいました。
 
 
名古屋芸術大学ファミリー
1993年から2000年まで通った名古屋芸術大学は、とても大切な存在です。来日したばかり、日本語学校に通っていた時に「名古屋の芸術大学に入りたいです」と先生に伝えたら、「名古屋芸術大学」を紹介されたのがきっかけでした。言葉もあまりできなくて、お金も全然ない留学生ころ、バイトをしながら西春に通いました。先生、同級生、先輩や後輩、事務の方々、大学の近所の方、皆さんに助けてもらって卒業できました。
その後も上海万博など中国で開催した日中友好コンサートに名古屋芸大の先生や仲間たちに一緒に出演してもらい、たくさんの思い出を作りました。
おかげさまで、来年から二胡がワールドミュージックカルチャーコースに取り入れられて、今年から客員教授もやらせていただいています。
 
当時、奨学金のことで大変お世話になった金子さんから、今回のお話をいただきました。指揮は恩師の竹内先生。バンドには同級生やこれまで何度も共演した方もいます。大学のおかげで二胡のご縁を頂いた飛騨センターの皆さんや高山でミュージカルを学ぶ皆さん。本当にたくさんの方々が参加されました。
本番前日、大学のリハーサルで、初めて共演する皆さんとお会いして、学生時代に戻ったような何とも言えない気持ちになりました。嬉しさはもちろんありますが、わからないことばかりだった当時のような、緊張も不安もある不思議な感覚でした。
2日間、皆さんと顔を合わせて、共演して、話をしたり、写真撮ったり、打ち上げも含めて、とても幸せで感動しましたし、本当に勉強になりました。改めて名古屋芸術大学に通ってよかったと思いました。本当にありがとうございました。
 
この感動を中国にも伝えたいです。いつか、日本の名古屋芸術大学のミュージカル、このような素晴らしい舞台を中国に届けたい。
森泉博行先生と、この作品に携わったすべての皆さん、ご来場くださった皆さんに心から感謝します。ありがとうございました。