ジュヴレ・シャンベルタンに拠点を置く、人気の生産者ドメーヌ・フーリエ。
お世話になっているコンサルタントが輸入していた事もあり、個人的に縁のあるドメーヌだ。
現在の当主であるジャン・マリー・フーリエは、今から30年前23歳という若さでドメーヌを継ぎ、天才醸造家の名をほしいままにしている。
そのフーリエは所有する70%が1級(プルミエ・クリュ)か特級(グラン・クリュ)という、贅沢なポートフォリオを持つ。
しかし古木ゆえの低収量も相まって、限られた生産量しかないため、入手が困難なドメーヌとしても知られている。
それゆえ、ドメーヌものとは別に、ジャン・マリー・フーリエ名義のネゴシアンで、ドメーヌが所有しない畑のワインも手掛けている。
ネゴシアンといえど醸造はジャン・マリーが手掛けるため、ドメーヌものと遜色はないといわれる。
とはいえ、ネゴスのワインはドメーヌものに対して2~3割という小さな規模で、入手困難な事に変わりはない。
そんなフーリエが、ドメーヌ コント・ド・シャペルが所有する畑を手に入れ、新しいワインづくりを始めるという話を聞いた。
初めて手掛けた2022ヴィンテージのワインが日本にも入ってきたが、そのラインナップがすごい。
赤はポマールやボーヌのプルミエ・クリュなどが並ぶが、特筆すべきは白のラインナップだろう。
今までもドメーヌものでブルゴーニュ・ブランを手掛けていたが、ムルソー村名やシャサーニュ1級モルジョ、ピュリニー1級シャン・ガンなどが並ぶ。
そして、グラン・クリュのコルトン・シャルルマーニュのリリースまであるという。
個人的には好きな畑ばかりで、高額なワインだがいつか飲んでみたい。
しかもフーリエのこだわりであるヴィエイユ・ヴィーニュ(古木)で、新樽率は20%程度。
低収量が生み出す複雑でピュアな、素晴らしいワインであることは想像に難くない。
フーリエが今まで手掛けていたブルゴーニュ・ブランは5,000円位で手に入っていたので、気軽によく家でも飲んでいた。
ジュヴレ・シャンベルタンのAOCは赤のみなので、フーリエといえば赤をイメージする方がほとんどだろう。
しかし天才ジャン・マリー・フーリエは、白ワインを作らせてもすさまさじい。
個人的にはこの格ですら、そこいらのコート・ド・ボーヌの1級畑と渡り合える味わいだと思う。
そんなドメーヌ・フーリエのブルゴーニュ・ブランの2017ヴィンテージを、久しぶりに自宅で開栓した。
なお輸入元は大雅、グラスはシュトルツル・ラウジッツのクアトロ・フィル ホワイトワインを使用した。
【テイスティング】
ホワイトグレープフルーツの果肉や果汁、その薄皮のほどよい苦味、焼きたてのパンの香り、クリーミーなテクスチャー。
バニラクリーム、岩をなめたようなミネラル感、マンゴーのようなトロピカルフルーツ、洋梨のタルト。
溶かした無塩バター、完熟した安納芋の蜜、レモンカード、パイナップルやアプリコットの果実味。
フルーツやミネラルが混ざり合う、複雑で厚いボディと長い余韻。
何度か飲んでいるが久しぶりに飲むとこなれ感が加わり、よりおいしく感じる。
フレッシュなのが魅力だが、厚みや複雑さがあり熟成させたものも飲んでみたくなる。
エージェントが変わったので今後は手に入りづらくなるため、手持ちは大事に飲もうと思う。
ちなみに最近barで飲んだ話題の長熟ボウモアのハーフショットと、家で飲むこのワインの750mlのフルボトルがほぼ同じ値段。
また、コント・ド・シャペルのコルトン・シャルルマーニュ2022は1本170,000円の値段がついている。
当時から思っていたが、このワインの5,000円は安すぎた。