改めてブログを見直してみると、最近ではウイスキーの記事よりもワインの記事の方が増えている。

こう暑いと食中に白ワインやスパークリングワインを飲みたくなるし、ペアリングならどんなに頑張ってもウイスキーは食中に飲むには分が悪い。

ストレートで飲むならなおの事で、飲んでいる数も量も圧倒的にワインが多いからだろう。


夏だから白やスパークリングより出番は少ないが、食事次第によっては赤も飲みたくなる。

外も暑くて体が熱をもっているような場合、いつもより少し温度を下げて飲むのがいい。

そういう場合、あまりタンニンが強くないワインが良いと思う。

ピノ・ノワールもそうだが、個人的にはシラーもそういう時に選択肢の一つに入る。

シラーはスパイスのきいた肉料理はもとより、煮物や味噌で炒めた料理などにも寄り添う。

ものを選べば果実美も酸味もあり、ボディやタンニンもほどよい。


フランスではシラーといえば、コート・デュ・ローヌが代表的な栽培地だ。

気軽に飲める価格帯のシラーといえば、まずはAOCコート・デュ・ローヌ、それとサン・ジョセフが上がるだろうか。

そして、クローズ・エルミタージュもそこに含まれるアペラシオンだろう。


北ローヌ屈指の銘醸地で高級ワインを生み出すエルミタージュ。

そのエルミタージュを囲む非常に大きなアペラシオンがクローズ・エルミタージュだ。

個人的にはドライで鉄っぽいのに、グラッシーなニュアンスがのると得意でないため、どちらかといえばサン・ジョセフやコルナスの方が好みだ。


なので、クローズ・エルミタージュは積極的に買わないのだが、あるボトルが目に留まり久しぶりにクローズ・エルミタージュのワインを買った。

それがこのM.シャプティエのセレクション・パーセレールのシリーズ、ヴァロニエの2009ヴィンテージだ。


シャプティエはパーカー100点満点の常連で、ローヌを代表するトップ生産者だ。

その中でもトップのシリーズがセレクション・パーセレールで、区画ごとに仕込まれたシャプティエの看板シリーズだ。

エルミタージュも区画ごとにパヴィヨン、メアル、レルミットなどに分かれてリリースされている。


ヴァロニエは飲んだことがなかったが、最近あるオンラインショップで2009ヴィンテージが売られているのを見て買った。

当時価格だとしたら少し高めだから、売れていなかったのだろう。

税前5,000円台という、今となっては全然ありな値段で、ちょい熟成だったためありがたく購入した。


そのボトルを自宅で数ヶ月セラーリングし、開栓した。

なお、ヴィンテージは2009、輸入元はひらまつで、グラスは木村硝子のサヴァ 15oz ビール/ワインを使用した。


【テイスティング】

熟したプラム、無花果、少しドライフィグのニュアンス、煮出したストロベリーティー。

ブーケガルニ、ブドウの茎、グラッシーな草、しっかりとタニックで黒ブドウの皮。 

黒胡椒やリコリス、焼いた樽、熟したブルーベリーのようなざらっとした熟成感は出始め、骨格は砕けているが少し鉄っぽい雑味もある。

ブルーベリーヨーグルト、根菜についた黒土、ミキプルーン、ドライでスパイシーなニュアンス。


少し熟成し始めたシラーで、シャプティエのセレクションパーセレールだけあり、肉付きがいいシラー。

15年熟成しているが、もう少し熟成はするだろう。

ただ、ほどよく熟成感があり果実美と酸味もバランスがよく、今開けてよかった印象。

あと数年セラーリングをしたら、コルキーさが増して砕け方が好みから外れていたのではないか。


夏場に飲む赤ワインとしても、スパイシーさやボディがちょうど良く、使い勝手がいい印象。

シャプティエのこのシリーズらしい厚みや複雑さがあり、この価格ならいいと思う。


ただクローズ・エルミタージュは、シラーを飲みたいときの選択肢としては結構微妙。

ローヌ以外でも、オーストラリアのシラーズ、日本のメルシャンの鴨居寺などいいシラーのワインは多い。

その中で積極的に選ぶかというと、個人的にはかなり後回しになる。

ウイスキーに例えると、タリバーディンやタムナヴーリンみたいな位置付けだろうか。


とはいえ、久しぶりに買ったクローズ・エルミタージュはバランスがよく、テロワールが表現されたグッドワインだった。


【Verygood!!】