ブルゴーニュのピノ・ノワールの価格が上がって久しい。
格的には一番下のAOCブルゴーニュなら、私が飲み始めた頃でもたいていのドメーヌは3,000円強で買えた。
しかし今や倍以上の価格になっているし、そうなると気軽にデイリーユースで使いにくくなる。
私は比較的巾広く飲んでいるため、ブルゴーニュが高いなら他の赤ワインを飲もうかと考える。
しかし中には、飲む回数を減らしてもブルゴーニュのピノ・ノワールしか飲まない、という人もいる。
そこまでではないにしても、和食に合わせやすいというのもあるため、ポートフォリオ的にピノ・ノワールが欠かせないのは事実だ。
私の場合気軽に飲みたい時、値段が上がっていないブルゴーニュのドメーヌのものを狙うか、違う国のピノ・ノワールを選んでいる。
ピノ・ノワールは栽培が難しく、以前はブルゴーニュ以外では不可能ではないかと思われていたという。
しかし、今や世界中で栽培される国際品種となり、南半球も含めた冷涼な土地であれば広く作られるようになっている。
カリフォルニアを筆頭に、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、チリなどの南半球、イタリア、スペイン、日本など様々な地域のピノ・ノワールを飲んだ。
しかし、どこもピノ・ノワールのワインはいいものはそれなりの値段がする。
そんな中、比較的リーズナブルな価格帯でピノ・ノワールが味わえるとなると、ドイツのものが挙がるのではないだろうか。
このマーカス・モリトールのピノ・ノワールも、税前3,000円強という価格で買ったお値打ち価格のピノ・ノワールだ。
マーカス・モリトールはドイツはモーゼルに拠点を置く生産者で、ロバート・パーカーのワイン・アドヴォケイト(WA)で100点を何度も獲得している。
それは甘口や中辛口のリースリングで作られたワインだが、それ以外の品種で作ったワインも高く評価されている。
ドイツではピノ・ノワールはシュペート・ブルグンダーと呼ばれる。
呼び方が違うだけで同じ品種だとされるが、気候なのか土壌なのか醸造なのか、味わいがブルゴーニュとは結構違う。
ブラインドで出てきてもブルゴーニュとは違うと違和感を持つことが多く、私はピノ・ノワールとシュペートブルグンダーは同じものだと認識していない。
ピノ・ノワールは突然変異を起こしやすく、多くの亜種を持つからだ。
そして、おそらく先に上げた3つが違うからだろうが、特に醸造が違うというか、ブルゴーニュに寄せようとしていないと感じる。
マーカス・モリトールもそういう生産者の一人で、いろんな種類のワインを飲んだが、独自の個性を持っている。
そのマーカス・モリトールのピノ・ノワールのエントリーキュヴェを自宅で開栓し、テイスティングしてみた。
なお、ヴィンテージは2018で輸入元はフィラディス、グラスはリーデルのヴィノム ピノ・ノワールを使用した。
【テイスティング】
酸味のあるチェリーや少し煮詰めたストロベリージャム、焼いた樽由来の黒っぽいスパイス、しっかりしたミネラル感。
乾いた土、少し鰹節の出汁っぼいニュアンス、ザクロの実、樽はしっかり目で酸はあるがスパイシー。
ピノ・ノワールらしいベリーやチェリーの果実味があり、冷涼な気候の酸味も感じる。
ミネラル感やスパイシーさが強めで、エレガントさを目指していない点が、シュペートブルグンダーらしいと思う。
費用対効果は秀逸で、3,000円ちょいで買えるピノ・ノワールとしては使い勝手がいい。
家の和食にも合わせやすく、山椒を多めにふった鰻に合わせてもよくあった。
ブルゴーニュとはニュアンスが違うが、デイリーユースのピノ・ノワールとして重宝するワインだと思う。
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