うちにある開けすぎたボトルの本数を減らす目的でつけはじめた、ラストドラムのテイスティング。

いよいよこれを介錯するのか、と思うと寂しさが込み上げる。

それがこのローカルバーレイの1999ヴィンテージ、シェリー樽熟成の14年ものだ。


今や伝説となっている地元産の大麦を使った、かつてのローカルバーレイ。

ウイスキー作りの全ての工程をキャンベルタウンで行う、昔ながらの地酒としてのウイスキー。

味ももちろんだが、そういうロマンがローカルバーレイを特別なものにしているのだろう。


その仕込みは1999年に再開されたが、このウイスキーはその年の9月に蒸溜され、リフィルシェリーバットで熟成されている。

その後、スプリングバンクソサエティ10周年の記念ボトルとして、2014年4月に瓶詰めされた。

アウトターン546本のスペシャルボトルだ。


ラベルがRefill Sherry Buttと単数形であること、また本数546×0.7L=382.2Lという容量からいっても、シングルカスクではないかと思われる。

新生ローカレバーレイシリーズのアウトターンは8,400本~15,000本なので、546本のアウトターンがいかに少ないかがわかる。

また、アルコール度数も57.8%となかなかのハイプルーフで、スペックを見るだけで心が踊る。


今はある海外の酒屋で約18万円で売られている。

確かこのボトルは海外のオークションで2本落札したが、その額は1本目が3.5万円、2本目は5万円くらいだったように思う。

ずいぶん高くなった気がするが、1999のシェリーのローカルバーレイは、今後もう買えるような額では出てこないだろう。

あと1本手元にあるので買わないが、1本もなかったら買っていてもおかしくない。


このボトルは5年4ヶ月で飲み切りとなったが、ラストドラムでもまだまだ強さを維持している。

そのラスト周辺を丁寧に飲んできたが、いよいよラストショットとなったので、そのテイスティングを記載する。


【テイスティング】

プルーフの厚み、分厚い麦感、ストロベリーチョコレート、練乳がけのざらっとしたシリアル。

オロロソシェリー、潮風や磯の香り、カカオ、ナツメグやブラックペッパー様のスパイス。

焼きりんご、岩をなめたようなミネラルや塩味、深く煎ったコーヒー豆、鰹だし、樹液。

ニートだとしっかりした骨格で、コーヒーやチョコレート感が強い。

わずかに加水するとコーヒーの実、ドライアプリコット、アムチュール、赤い果実味とオリエンタルな香木のニュアンス。

余韻は非常に長く赤い果実が上がってくる。

しかも、まだまだよくなりそうな気配がある。


この状態でブラインドで飲んだら、スプリングバンクの60年代という可能性が高いウイスキー。

1999に空いてローカルバーレイのニューポットを満たしたこのシェリーカスクは、おそらくヨーロピアンオークのかなりいい樽だったのではないか。

ウッディネスの質や香りからそう感じるし、多彩な果実みや香味がある。


今のところ、1999から再開された新生ローカルバーレイの中で群を抜いている。

これを越えるものが今の仕込みの下で出たとして、私の口に入るのはかなり難しい気がする。

このボトルは新世代のレジェンドボトルだと思うし、さらによくなっていくだろう。

そう考えたら18万円は高くない気がするが、スプリングバンクなら肩を並べる銘品を産み出す可能性が十二分にある。

無理に手を出さずにそれを逃さず手に入れるべきか、今のうちに買っておくか非常に悩ましい。


そんなことを思う素晴らしいローカルバーレイだ。
当然空きボトルは、殿堂コーナーに飾っておこうと思う。

【Excellent!!】