ちょっと熟成したワインが飲みたい、そう思うときがある。
私の場合ウイスキーもそうだが、ワインも新しいリリースやヴィンテージを買う割合が多い。
それらをセラーリングすることが多いため、熟成25年を越えるワインはそれほど家にない。

そんな中手に取ったこのワインは、友人のコンサルタントがチョイスしてくれたケースに入っていたものだ。
作り手はラ・スピネッタで、このコンサルタントの好みなのかよく入っている。
この作り手を象徴するサイのラベルのバルバレスコも、今は安いけど高くなるから熟成させて飲んで、と以前買ったケースに数本入っていた。
ピエモンテとトスカーナでワインを作る、特にバルバレスコのトップとしてイタリアではよく知られた生産者だという。

このワインはそんなスピネッタのモンフェッラートのワインだ。
PINというのは現在ドメーヌを運営するリヴェッティ兄弟の父である、ジュゼッペの愛称だという。
新しいヴィンテージは1万を切って買えるが、これは25年以上の熟成を経ても似たような値段だった。

モンフェッラートはピエモンテ州にある地区で、多彩なワインを作っている。
このキュヴェはネッビオーロとバルベーラで作られているという。
格的にも十分に熟成しているだろうと思い、開けたい誘惑にかられて栓を抜いた。

なお、ヴィンテージは1998で輸入元はフィラディス、グラスはシュトルツル・ラウジッツのギブリ ボルドー22ozを使用した。

【テイスティング】
熟したプラム、グジュっとしたプルーン様のドライフルーツ、長く置いてあるドライローズ、ブーケガルニ。
しっかりしたタンニン、焼いたオーク、ほんのりなめし革、クローブやブラックペッパー様のスパイス、凝縮感があり骨格はかなり砕けている。
チョコレート、少しの獣臭、半生のドライイチジク、かすかにルバーブ。

熟成したトスカーナの典型的なワインで、もっと強かったであろうタンニンは砕けているが健在。
牛肉のステーキを合わせたが、もっと強い風味の熟成肉やジビエを合わせ、晩秋や初冬にのむイメージのワイン。
おそらく新しいときは、新しいサン・テミリオンの堅牢さに近いイメージではないか。

本来25年も熟成させる前提ではないものなのだろう、砕け方が少し加熟の印象を持った。
同じような価格帯なら個人的にはコートロティを買うが、たまに飲みたくなる味わいのワイン。

また、年によってはネッビオーロ、バルベーラ以外にカベルネ・ソーヴィニヨンも使われるらしいが、熟成しているからかニュアンスを拾えなかった。
入っていても少量ではないかと思う。

私がワインを教えてもらった方は、後年イタリアワインに傾倒していったが、『この値段でこれが来るか!』というものがある、とよく言っていた。
宝探し感も強いし、イタリアワインには独特の魅力がある。
そんな一面を垣間見れる、グッドな熟成ワインだ。

【Good/Verygood!!】