家にある開栓済みのボトル消費を目的としたラストドラム。

今回はカバラン、ソリストのシェリーのシングルカスクだ。


カバランは2006年1月1日に蒸溜を開始したという若い蒸溜所で、彗星のごとく登場した台湾の新星だ。

短熟なのにしっかりとした仕上がりは当初から評判になり、有名Barがプライベートボトルを詰めて話題になったのももう8年ほど前だろうか。


中でもシンガポールのBar、オールドアライアンスがボトリングしたこのボトルはとりわけ評判がよかった。

ヴィンテージは2009年6月8日で、ボトリングが2016年のため熟成は7年強ぐらいだろう。

当時は7年熟成のシェリーカスクでこの仕上がりは、熟成の早い南方がもたらした恩恵だと思っていた。


しかし今や7年ぐらいの熟成は、スコッチでも珍しくなくなってきていて、中にはいいものも出てきている。

とはいえそれらと比較しても、仕上がりのよさは折り紙つきではあると思う。

しかし、個人的には飲む理由があまりないウイスキーで、このボトル以降あまり追いかけてなかった。

最初にこのblogにボトルを掲載したのは2016年11月なので、約7年5ヶ月で飲みきりとなった。

これほど時間がかかったのも、あまり積極的に飲みたいと思わなかったためだろう。

うまいのに不思議だがそういう酒が存在する事からも、シングルモルトは個性を愛でるお酒なのだろう。


また、このボトルは確か税前1.5万円程度だった気がするが、ソリストのシェリーカスクはさほど値段が上がっていないように見える。

ジャパニーズが品薄で高額だからカバランを飲もう、となってもおかしくない気がするが、そうなってないのだろう。

開栓してからの期間が、熟成していた期間とほほ同じになるこのウイスキーのラスト。

そのテイスティングを記録する。


【テイスティング】

ミルクコーヒー、オロロソシェリー、ローズウッドの使い込まれた家具、しっかりとウッディ。

酸味のあるベリー系の赤い果実味、カカオ比率の高いダークチョコレート、クローヴやブラックペッパー様のスパイス、ボディはライトミディアム。

酸味のあるローヌのシラー、表面を覆う粉っぽい白胡椒、しっかりと乾燥させたレーズン、バタースコッチ、バニラ。

山崎のシェリーオークにタニックさが少し似ていて、アルコールのアタックは強めで丸みは少ない。

アフターには漢方っぽい苦味、スモーキーさは薄く、ブラインドで飲んだら山崎といいそう。


きれいなシェリーカスクのウイスキーで、このクオリティにしては安いし、バランスもいい。

特にアフターに残る、粉っぽい漢方薬みたいな苦味があるのがこのウイスキーの特徴だろうか。

スモーキーさがなくボディが薄いのも台湾ならではで、この上の段階が想像しづらい。

アッパーがこのクオリティではないか、という感じがしないでもない。


とはいえ充分すぎるくらいハイクオリティなシェリーカスクで、この味が今2万強で買えるなら文句のつけようがないだろう。

しかし期待値は上がっているため、次の段階に上がるにはレジェンド級のボトルの登場が待たれる。

とはいえ、わずか18年でそのレベルまで来ているのは、やはりとんでもないことだと思う。

上質なシェリーカスクが安価で味わえる、素晴らしいカバランだった。


【Verygood!!】