ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュと並ぶフランスを代表する銘醸地といえばコート・デュ・ローヌだ。

使われるブドウ品種は、北ローヌではシラー、南ローヌではグルナッシュが主体で、国際品種として様々な国や地域で栽培されている。


シラー100%で作られる北ローヌのワインは長命なものが多く、中でも北ローヌを代表するAOCがエルミタージュだろう。

エルミタージュを代表する生産者といえば、エルミタージュ・ラ・シャペルを擁するポール・ジャヴレ・エネ、パーカー100点を40回以上も獲得しているシャプティエ。

そして、エルミタージュの魔術師といわれているのが、ジャン・ルイ・シャーヴだ。


シャーヴのエルミタージュは、様々な区画から収穫されたブドウを緻密にブレンドして作る。

その立体的な奥行きとパワーは唯一無二といえるワインで、その品質の割には価格は安かった。

今ではずいぶん上がってしまったが、それでもクオリティを考えたらまだまだ安いと思う。


そんなシャーヴはドメーヌの看板ワインに使われなかったブドウを使う、セレクションというシリーズも展開している。

『ドメーヌものは偉大なワインを、セレクションはおいしいワインを』というポリシーを持ち、低価格だが質の高いワインを提供している。

そのセレクションで出しているエルミタージュが、このファルコネというキュヴェだ。


同じ年のものを並べて飲み比べると、ドメーヌものが緻密に組み立てられているのがよくわかる。

しかし、このファルコネも非常にいいワインで、エルミタージュだけに長く熟成する長命さも持ち合わせている。

ただ飲み時を判断するのが難しく、家で気軽にシャーヴのシラーを飲むには、対岸のサン・ジョセフの方が価格も安く使いやすいと思う。


ファルコネは今や1万円に迫ろうかという価格になっている。

しかしこの2012ヴィンテージは、税前6,300円という高めの当時価格で、ひらまつのオンラインショップで売られていた。

今となっては安く感じるし、12年の熟成で飲み頃としては悪くないかと思い2本購入した。


そのワインを少し休ませて自宅で開栓した。

なお輸入元はひらまつで、グラスはシュトルツル・ラウジッツのギブリ ボルドー22ozを使用した。


【テイスティング】

プルーン様のドライフルーツ、デーツ、甘納豆、酸味のあるプラム。

しっかりした樽感、黒ブドウの皮っぽいタンニン、黒胡椒様のスパイス、ヨード。

ほんのり獣臭、チョコレート、きめ細かい炭の粉っぽさ、インクのニュアンス。


少しは熟してきているがまだまだ固く、この段階から自宅でのセラーリングでもあと10年は寝かせたい。

やはりピンポイントで飲み時を探しづらいワインという印象で、その辺りがエルミタージュらしい。

塩胡椒で味付けして焼いたラムに合わせたが、もっとどっしりとした料理を合わせるべきだった。

もう1本は忘れた頃に開けようと思う。


家飲みシラーとしての気安さはサン・ジョセフに譲るが、この価格帯にして孤高のワインだと思えるエルミタージュ。

さすがシャーヴと思えるクオリティのワインだ。


【Verygood!!】